第38話 10月

試合は2-0で終了した。

その後の2回戦は3-0で勝利し、大阪府代表は国体本大会への出場が決まった。



月日は流れ、10月。

国体本戦の日。

国体のメンバーは変わらなかった。


相手は千葉県代表。



大阪府スタメン


1  吉沢龍之介    聖心高校


2  石森北斗     梅田産業高校


4  涼太デ・ヨング  神龍高校


5  斎藤拓実     東大阪工業高校


6  井上実      銀星高校


7  岩井和也     城壁高校


8  坂口亮太     藤井寺商業高校


9  菊池陽太     池田工科高校


10  八神優月    大阪ユナイテッド


11  中島昴     蒼天男子高校


14  加藤翔     城壁高校



 ピー

大阪府代表ボールでキックオフとなった。



大阪府代表の右コーナーキックの場面

キッカーは⑦岩井。

ペナルティエリア内に人が集まる。

こぼれ球の位置には⑩八神。


 ボン

⑦岩井がボールを蹴る。


 バン

しかし、相手の①キーパーがパンチングで跳ね返す。

こぼれたボールは八神に落ちる。


 ドーン

⑩八神はトラップせずに、右足でボレーシュートを撃つ。


 ゴール


狙いすましたシュートをゴールネットに突き刺した


大阪府代表が幸先よく先制した。



 ピー

千葉県代表ボールで試合が再開する。


千葉県ボールの場面。

千葉県代表フォワードの⑨櫻井翼が裏に走る。

櫻井の足は速い。

大阪府代表センターバックの⑥井上は追いつけない。


 ポン

相手の⑦ボランチが⑨櫻井に浮き球を送る。

⑥井上が裏を取られる。

  

櫻井がボールを持ち、ゴールに近づく。

デ・ヨングがスプリントで櫻井を追う。

デ・ヨングが櫻井に追いつく。

デ・ヨングが櫻井に体を当てる。


だが、櫻井も負けない。 

そのまま、ドリブルで前進する。

櫻井とデ・ヨングが並走する。


 ズー

デ・ヨングがスライディングをしてボールを外にかき出す。



それから、大阪府代表が防戦一方になる。

大阪府代表は、ボールを奪って前線にパスを出しても千葉県代表にボールを奪い返されてしまう。

大阪府代表フォワードの⑨菊池は、なかなかボールをキープできない。



千葉県代表ボール。

相手の⑪左サイドハーフがボールを持っている。

大阪府代表の右サイドバックの②石森が寄せる。

位置は左斜め45°  ゴールまで20m


相手の③左サイドバックがオーバーラップする。


 ポン

⑪左サイドハーフが③左サイドバックにスルーパス。


 ボン

ワンタッチで③左サイドバックがクロスを蹴る。


 パン

大阪府代表のキーパーの①吉沢がパンチングで跳ね返す。

跳ね返したボールは、相手の⑦ボランチに落ちる。


 ドン

ダイレクトで⑦ボランチがシュートを撃つ。


 バン

デ・ヨングが体を張って、シュートをブロックする。



デ・ヨングは、その後も何回も体を張りチームを助けた。



 ピッ ピー

前半が終了した。

選手がベンチに戻る。

監督は、修正点を伝えた。

その後、ピッチに戻る。



 ピー

後半が始まった。



千葉県代表ボール。

⑪左サイドハーフがボールを持っている。

位置はアタッキングサードの左サイド。


⑪左サイドハーフがドリブルで中に切り込む。

ゴールまで18m

ペナルティエリア内には、⑨櫻井がいる。

⑨櫻井には、⑥井上がマークにつく。

ペナルティエリアアーク辺りには、⑦ボランチがいる。


 ポン

⑪左サイドハーフが⑦ボランチにパスを出す。

すぐに、大阪府代表の⑭ボランチの加藤が寄せる。

⑦ボランチは、ボールを見ている。


 ポン

⑦ボランチはワンタッチでヒールで⑨櫻井にスルーパスを出す。

⑦ボランチは、ノールックでヒールパスを出した。

(ヒールパス・・・踵でパスを出すこと。)


⑥井上は、ノールックパスで反応が遅れる。

しかし、⑨櫻井の反応は速い。

⑨櫻井が裏に抜ける。


すぐにキーパーの①吉沢が前に出る。


 ドン

⑨櫻井が右足でシュートを蹴る。


 ゴール


⑨櫻井が完璧なコースにシュートを蹴り込んだ。



これで1-1で同点になった。

失点直後、大阪府代表チームが集まる。

⑩八神が、口を開く。

「あの9番。

あいつはu16日本代表だ。

所属チームは、白虎高校。

あいつを止めない限り勝てない。

デ・ヨング。

おまえがあいつのマークにつけ。」

「え?」

デ・ヨングは疑問を浮かべた。

自分が日本代表の相手のするからだ。

「おまえはこの試合。

チームを守備で何回も救ってくれている。

おまえの能力でしか、あいつを止めれない。

頼む。」

八神がデ・ヨングに頼む。

「分かった。」

デ・ヨングは、頼みを引き受ける。



 ピー

大阪府代表ボールで試合が再開する。



大阪府代表の右コーナーキックの場面。

先程と立ち位置は同じ。

相手の前線には、⑨櫻井が残っている。

⑨櫻井には、大阪府代表の左サイドバックの斎藤がマークにつく。

カバーの位置には、デ・ヨングがいる。


 ボン

岩井がボールを蹴る。


 ボン

相手の⑤センターバックがボールをクリアする。

クリアしたボールは、左サイドに流れる。

⑨櫻井が走って、ボールに追いつく。

②石森が距離を取って、寄せる。


 ポッ

⑨櫻井が縦にボールを大きく蹴り出す。

櫻井がスプリントでボールを追う。

②石森もボールを追う。

石森は距離を取っていたため、石森の方が櫻井よりボールに近い。


「ヤバい。

速すぎる。」

石森が焦る。

櫻井が石森をスピードで抜く。

櫻井が先にボールに追いつく。


位置は左サイド。

ゴールまで30m

櫻井がドリブルで中に切り込んでいく。

デ・ヨングしか守備は残っていない

30m 25m  20m 

どんどんゴールに迫っていく。

デ・ヨングと櫻井の1対1。


櫻井の利き足は右足。

デ・ヨングは、左に誘導する。

櫻井は、右にドリブルで流れる。


デ・ヨングは体の向きを変えて、櫻井についていく。

櫻井がボールを運ぶ。

ゴールまで7m


 ドン

櫻井が右足でシュートを撃つ。


 バン


デ・ヨングがスライディングでシュートをブロックする。



その後、決勝戦かと思わせるくらい激しい攻防戦が続くが、ゴールは決まらない。

  

大阪府代表は、飛び級で招集された大阪ユナイテッド所属の中学3年生、武田賢人を交代するが、シュートは決まらない。


そのまま時間は過ぎていき、


 ピッ ピー 

審判が笛を吹いた。

試合終了の合図。


大会の方式上、時間内に試合が終わらなければ、即、PK戦となる。



キッカーの先攻は、大阪府代表。

後攻は千葉県代表。


それぞれ、3番目のキッカーまではゴールを決めた。

4番目のキッカーは⑪中島。


 ドン

左にシュートを蹴る。


 ドーン


しかし、左ポストにシュートが当たる。

シュートを外した。



千葉県代表の4番目のキッカーはゴールを決めた。

大阪府代表の5番目のキッカーは⑭加藤。


 ドン

右にシュートを蹴る。


 パーン


しかし、相手の①キーパーがシュートを止めた。



試合が決着した。

PK戦の結果は、3-4。

千葉県代表が勝利した。


試合が終わり、選手達がベンチに戻っていると、櫻井がデ・ヨングの方を見る。

櫻井がつぶやく。

「あの4番、うまかったな。

また、試合したいなぁ。」



観客席には、50代くらいの男が試合を観ていた。

その男は、デ・ヨングを見る。

「あの4番。

招集したいなぁ。」

そう言って、観客席を去っていった。

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