第29話 天王山

大宮先輩がキックオフして、ゲームが始まった。

大阪ユナイテッドのフォメーションは4-2-3-1

試合は45分ハーフの90分ゲーム。


大阪ユナイテッドボール。

ビルドアップのシーン。

 ポン ポン ポン

相手はユースなだけあって、基本的にロングボールを蹴ってこない。ショートパスで繋いでくる。


 ポン

相手の㉕センターバックが㉚ボランチにパスを出す。

すぐに日村先輩が寄せる。

日村先輩が寄せたため中央にスペースが空く。


 ポン

㉚ボランチがワンタッチで、日村先輩が空けたスペースにパスを出す。

そこに入っていたのは、相手の⑭トップ下。


⑭トップ下が前を向く。

ボールを運ぶ。前進する。

ゴールまで25m。

 ポン

左サイドにいる㉗左サイドハーフにパスを出す。

㉗左サイドハーフは左利き。


右サイドバックの松田先輩がすぐに寄せる。

㉗左サイドハーフがトラップすると、すぐにボールを左足で縦に運ぶ。

松田先輩がついていく。

 ボン

㉗左サイドハーフが左足でクロスを蹴る。

 バーン

しかし、松田先輩がクロスボールを体に当ててコーナーキックにする。



今は、前半10分ぐらい。

相手の左コーナーキック。

キッカーは㉚ボランチ。


神龍高校は大宮先輩と佐藤以外は、ゴール前に帰陣する。

相手は、中に5人とキーパー前に1人ついている。

デ・ヨングが相手の㉕のマークにつく。

松田先輩が相手のフォワードの㉘のマークにつく。


㉚ボランチが助走距離をつける。

㉚ボランチが手を上げる。

 ボン

㉚ボランチが走って蹴り込む。


その瞬間、相手の㉕がゴール前に走り込みにいく。

デ・ヨングが㉕のマークのためついていく。

しかし、㉘フォワードがデ・ヨングに体を当てて㉕からブロックする。

デ・ヨングが㉘にブロックされたため、㉕がフリーになる。


ボールの落下地点は㉕のところ。

ゴールまで5m


 ドン

ヘディングで合わせる

 

 ゴール


ゴールにボールを流し込んだ。



大阪ユナイテッドチームが集まり喜ぶ。


神龍高校は、天王山という大事な試合なだけあって落ち込む。

安室先輩が声を上げる。

「切り替え 切り替え 顔上げろ!」



神龍高校ベンチサイド。

「まじかよ。」

ベンチサイドはかなり落ち込んでる。

「今、25番フリーだったよね。」

幕井が朝日に質問する。

「うん

28番がデ・ヨングに体を当てて25番をフリーにさせてた。

デザインされたコーナーキックだったよ。」

朝日は冷静に分析する。



ピー

神龍高校ボールで試合が再開される。


神龍高校の左コーナーキック。

キッカーは小泉先輩。

小泉先輩が助走距離をつける。


すると、大宮先輩がボールをもらいによる。

ショートコーナーだ。

大宮先輩には㉕がマークする。


 ポン

小泉先輩が大宮先輩にパスを出す。

小泉先輩がボールを落としにもらいに走り込む。


 ポン

大宮先輩がワンタッチでパスを出す。


 ボーン

小泉先輩がダイレクトでクロスを蹴る。

デ・ヨングが走り込む。


 ドーン

デ・ヨングがヘディングで合わせる。

しかし、ゴールの上に外れる。

「クソ!」

デ・ヨングが悔しがる。

が、すぐにポジションに戻る。



その後も、拮抗した試合が続くがアクシデントが起きた。


大阪ユナイテッドボール。

㉗左サイドハーフが左サイドのハーフウェイラインでボールを持っている。

松田先輩が縦を切って寄せる。


㉗左サイドハーフがボールを左に置く。

 ボン

㉗左サイドハーフが左足で縦に浮き球を送る。


そこに走り込んでいたのは㉚ボランチ。

だが、渡辺先輩が追う。

㉚ボランチと渡辺先輩が並走する。

次の瞬間、

バーーーン!

渡辺先輩が㉚ボランチに腕で左肩を押されて、右肩から倒れる。


ピー

明らかな㉚ボランチのファウルなため、審判がファウルを取る。

渡辺先輩は、右肩を抑えて倒れたままだ。

「大丈夫か!」

日村先輩が駆けつける。

チームメイトも心配そうに集まる。


「肩外れてます!」

大宮先輩がベンチに大声で伝える。

どうやら渡辺先輩は肩を脱臼した。

そのまま、渡辺先輩はタンカでベンチに運ばれていった。

佐久間キーパーコーチは、すぐに渡辺先輩の親御さんを呼んだ。



ただ、怪我が発生したからといって試合は中止にはならない。

すぐに、渡辺先輩の代わりの選手を交代しなければならない。

山崎監督は悩む。

頭にシワを寄せる。

「幕井、出番だ!」

山崎監督が交代に指名したのは幕井だった。


「はっ はい!」

幕井は自分が指名とは思わずびっくりする。

幕井は不安そうな顔をする。

 パチッ

誰かが幕井の背中を叩いた。

「おまえのこの2日間の成長なら大丈夫だ。

思いっきりいってこい。」

背中を叩いたのは阿部先輩だった。

「はい!」

幕井は大きな声を出した。



幕井の背番号は18番。

「18番、入っていいよ!」

審判の声とともに、幕井はピッチに入った。

幕井のポジションはボランチ。

「幕井、守備はしっかりな。」

日村先輩が幕井に言う。

「はい!」

幕井の顔は覚悟が決まっていた。



ピー

審判の笛とともに、神龍高校ボールで試合が再開された。


神龍高校のカウンターのシーン。

佐藤が右サイドをドリブルで運ぶ。

 ポーン

佐藤が左足で春日先輩にパスを出す。

 バン

しかし、相手の㉔センターバックがパスをクリアする。

㉚ボランチにセカンドボールがこぼれるが、

 ポッ

しかし、幕井が㉚ボランチの前に入り幕井がセカンドボールを回収する。


 ポン

幕井はすぐに佐藤にスルーパスを出す。

佐藤がトラップして、ドリブルでボールを運ぶ。

ペナルティエリアの右ポケットまでボールを運ぶと、㉔センターバックが寄せてくる。


佐藤と㉔センターバックの1対1。

 ススッ

佐藤がアウト・インのドリブルで㉔を抜くと、㉔が足を出してしまう。

 バタッ

佐藤が倒れる。


ピー

審判の笛が鳴る。

実は、㉔が足を出したときに佐藤の足に㉔の足がぶつかってしまい、佐藤が倒れたのだ。

ペナルティエリアのファウルなためPKだ。


プレーが止まっていると日村先輩が幕井に寄ってきた。

「ナイス。 良かったぞ幕井。」

日村先輩が幕井を褒めた。

試合の入りとしては、良かったのではないだろうか。



PKキッカーは大宮先輩。

大宮先輩がボールをPKスポットに置く。

大宮先輩が助走距離をつける。


ピー

審判が笛を吹く。

大宮先輩が走り込む。

 ドン

右足でゴールの左にシュートを蹴った。


ゴール


キーパーは右に跳んだ。

冷静にキーパーの逆に沈めた。


試合は1-1で同点となった。






















 







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