第18話 中央トーナメント

翌日。


大阪府春季大会中央トーナメント1回戦。



後半30分。

神龍高校は0-0。

神龍高校ボール。

センターバックのデ・ヨングがボールを持っている。


フォワードの大宮先輩が0トップをする。


デ・ヨングが大宮先輩に縦パスを通す。

「完璧。」

大宮先輩がデ・ヨングの完璧なパスに思わず声を上げる。


「ここでしょ。」

相手の右サイドバックと右センターバックの間にスルーパス。


そこに走り込んでいたのは、左サイドハーフの小泉先輩。

ゴールまで7 m


ポン


 ゴール


右足で、弱めにボールを蹴ってゴールに流し込んだ。


「シャアー。」

選手全員、小泉先輩のところに集まる。


その後、神龍高校は守りきり

1-0で、激闘を制した。


次の対戦相手はBIG8の梅田産業高校。



その夜。

寮内は大騒ぎ。


「見たか、俺の神パス。

あのパスのおかげだぞ。」

大宮先輩が、はしゃぐ。


「俺も、来年の2年生には春季大会のピッチに立ちたい。」

幕井は心にこの想いを止める。



一週間後。

大阪府春季大会中央トーナメント2回戦

神龍高校vs梅田産業高校

この試合に勝てば、神龍高校は初のベスト8になる。


梅田産業高校はサイドアタックが武器のチーム。


試合前。

神龍高校ベンチ。

「俺たちは、まだ1回もベスト8にいったことない。

おまえたちなら新しい扉を開ける。

いつも通りのプレーで行って来い。」

山崎監督の熱い言葉をかける。


「しゃあー!」

選手たちの気持ちも高ぶる。


今日は右サイドバックに3年生の伊藤先輩がスタメンに入ってる。

右サイドハーフには、1年生の佐藤ではなく、2年生の松田先輩が入っている。

今日は佐藤はベンチスタート。


この試合の観客席には、もちろん、幕井達やこの前来た中学3年生、伊東、守屋、相葉の3人も観に来ている。


もうすぐ試合が始まる。

神龍高校のユニフォームは赤色。

キーパーは黒色。

梅田産業高校のユニフォームは白色。

キーパーは黄色。


神龍高校のフォメーションは4-4-2。

対する梅田産業高校は4-3-3。


「勝つぞここ。」

キャプテンの3年生、キーパーの安室先輩がみんなに声をかける。


ピー

前半がキックオフ。

梅田産業高校ボールで試合が始まる。


前半5分。

梅田産業高校ボール。

左サイドのアタッキングサードで、3年生の左ウイングの⑦平野匠がボールを持っている。


⑦平野匠は、大阪府屈指の左ウインガー。


伊藤先輩が寄せる。

1対1 ⑦平野匠と伊藤先輩のマッチアップ。

⑦平野匠は右利き。


シザースをして、揺さぶる。

(シザース・・・ドリブルでのボールをまたぐフェイント。)

しかし、伊藤先輩は動じない。


すると、⑦平野匠が反発ステップでボールを縦に運ぶ。

(反発ステップ・・・スピードが0から100の状態に到達して抜き去るテクニック。)


 シュ

伊藤先輩が、ボールと⑦平野匠の間に体を入れる。

そのまま、ボールはラインを割る。


「すげー!

伊藤先輩。

BIG8の選手に勝ったぞ。」

千葉は伊藤先輩の1対1の能力に驚く。


前半13分。

梅田産業高校ボール。

次は、右サイドのアタッキングサードで、2年生の右ウイングの⑪永瀬拓真がボールを持っている。

⑪永瀬拓真はレフティー。


神龍高校の3年生の④左サイドバックに仕掛ける。

⑪永瀬拓真は、アウト・インのドリブルで抜き去る。


ペナルティエリアに侵入する。

すると、⑪永瀬拓真はペナルティスポット辺りにパスを送る。


そこにいたのは、⑦平野匠。

 ドン


バチン


⑦平野匠がダイレクトでシュートを打ったが、キーパーの安室先輩が弾いて止める。


「結構、押されてない?」 

幕井がみんなに聞く。

「まぁBIG8だからね。

山崎監督含めコーチ陣も先輩達も苦しいゲームは想定済みだと思うよ。」

加藤が答える。

「BIG8って、やっぱりそんなに強いんだ。」

「ここ最近の大阪府の高校サッカーの大会は、BIG8の全チームがベスト8にいってるよ。」

加藤が衝撃の事実を伝えてくれた。


前半19分。

神龍高校ボール。


ビルドアップのシーン。

デ・ヨングがボールを持っている。


デ・ヨングは2年生のフォワードの春日先輩にロングボールを蹴る。

 バン

しかし、相手の③センターバックがクリアで前に返す。


「まずい。」

ベンチにいた松長先生も思わず声が出る。


クリアしたボールは、ちょうど、神龍高校のセンターバック同士の間だった。


クリアボールは、相手の⑩ワントップのところに落ちる。

ワントラップして、前を向く。

ボールを少し運ぶ。


ゴールまで10m。

 ドン


 ゴール


右足を振り抜きゴールに流し込んだ。


神龍高校は前半の19分に良い攻撃の形がないまま、1-0でリードされた。


































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