回想
気がつけば眠っていた。運転手が着いたよと言ってそこで目が覚めた。夢は見なかった。見ていなかったはずだ。しかし何か変な感覚が残っている。彼岸で眠ったからだろうか。
「お客さん、変な夢見たでしょ。生者がここで寝ると昔の記憶が鮮明に夢に出てくるんだよ。」
そうだ。思い出した。あの浜に行く前のことを。
夏風が頬を撫でる七月のことだった。父の仕事の都合で僕は君の住むあの町に引っ越してきた。町と言えど都会からは離れた場所に位置していて青い海と港が見える田舎と表現した方が的確だ。
夏休みに突入する数日前の僕は新天地で泳ぎを覚えるにはあまりにも他人と関わるポテンシャルが皆無だった。それに加えて新たな来訪者には冷たいクラスに当たってしまったがためにとても肩身の重い思いを強いられた。
クラスメートと話す機会は一日に数回程度で大体は事務的なものだった。もしかするとああいった会話も排他的なコミュニティの中でも僅かな救いだったのだろうと思えてくる。
明日から夏休みに入ると言う時、密かにクラスメートの会話が聞こえてきた。どうやら明後日、町内会主催の祭りが行われるらしい。その帰り道、僕は君に祭りに行かないかと誘われたんだ。
記憶はそこで停滞している。
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