第9話 終わり。
そうして、お母さんが森で魔物を狩ることになった。ご飯は魔物の丸焼きだ。私はというと、母親が離乳食にせず食わせてくるので、なんとか魔法を使っている。
口の中で魔法を発動。細かくしてドロドロに、さらに殺菌までした上で、必要な栄養素を生成する。
何度も言うが、私は生後数日の赤ちゃんである。ガッツリとした丸焼きを食べれるわけがない。
普通の赤ちゃんは多分とっくに死んでると思う。
母乳も飲ませる気はないらしい。まあ、お母さんはポンコツだから仕方ない。でも、私のために魔物を狩ってくれているのはわかるので、そこは感謝している。
そうして、私たちは平和に暮らすことができていた。
確かに、安全な暮らしではない。いつか破綻するかもしれない。それでも、こうやって笑うことができるなら満足だった。
本当に、幸せな日々だった。
追放から、2週間が経った今日。お母さんは、帰らぬ人となった。
◆◇▪︎◇◆
あはは。ダメだね、もう精神が参っちまう。
「さすがに、明日は休むよ。」
私は、ギルドにそう告げる。
母が死んでから、なんと16年が経った。当時0歳0ヶ月だった私は、何も考えることができずに、ひたすらに森に籠ることとなった。意外にも、死のうと思うと死ねないもので、なんだかんだ生き残っていた。
そうして、今の私になった。
「はい。ありがとうございます、サイカ様。こちら、今回の報酬である1万ゴールドです。
「はーい。ありがとう。」
私は、冒険者ギルドに所属している。今のランクはD。まあ、中堅ぐらいだろうか。
生活魔法しか使うことができないので、そもそも強くなりようがない。剣とかは苦手だしね。
だから、微妙な生活魔法を使って罠を張り、魔物を捕まえている。実質、狩人みたいなものだ。
稼ぎは大抵、1日に1万ゴールドぐらい。まあ、前世での1万円とほぼ同じ価値だ。装備の費用もここからでるので、実質的な手取りはもっと少ない。
でも、生活できないわけではない。
安定的な生活はできないし、時々危険もある。でも、私はこれしか道がないのだ。神様の魔法は、今だにうまく動かないらしい。それはもう、とっくに諦めている。
今が不幸じゃないから、もうそれでいいよ。
…強いて言えば。
世界中を旅して回りたいな、なんて。
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