第7話 タシュケント ウズベキスタンより

親愛なる友より


見知らぬ街から初めての絵葉書を送ります。

いよいよウズベキスタンに入国したよ。

熱く乾いた風はカザフスタンと同じだけど、全く違う匂いがする。

すごく新鮮な気分だ。

ここはタシュケント。

タシュケントはウズベキスタンの首都だけど、カザフスタンに近い位置にあり、その歴史や文化には両国の影響が見える。

古い歴史を湛えたこの街は、思っていた以上に温かく、鮮やかで、驚きに満ちていた。

到着と街の第一印象 空港に降り立つと、空気には砂漠の乾いた香りとどこか甘い花の香りが混ざっていたよ。

街に向かうタクシーの窓越しに見たのは、広がる平野と整然とした街並みだ。

新しい建物と古いモスクが同じ風景に溶け込んでいて、不思議と心が落ちついてきたんだ。

伝統と歴史を知る 滞在二日目。

地元のガイドに連れられて「コカルダシュ・メドレセ」を訪れた。

この美しい建物は16世紀に建てられたイスラム学院でね、青いタイルで覆われた外壁が太陽の光にきらめいていた。

ガイドのアルマさんは、タシュケントの地震で崩れた後に修復されたこと、そして今もこの場所が学生たちの学び舎であることを教えてくれた。

「ここでは時間が止まっているようだね」

と私が言うと、アルマさんは微笑んで

「いいえ、時間は続いています。ただ、過去と未来が静かに話しているだけです」

と答えたんだ。

この言葉が印象的で、まるでタシュケントそのものを表しているように思えたよ。

名物料理と人々との交流 昼食には、地元の人々に人気のある「プロフ(炊き込みご飯)」を食べた。

羊肉、ニンジン、玉ねぎが絶妙なバランスで調理されていて、一口食べるごとに豊かな風味が広がって、とても食欲が湧いたよ。

小さな食堂で隣に座った老人が、

「ここではプロフを家族と食べるのが一番幸せなんだ」

と話しかけてきたんだ。

彼は自分の孫の話をしながら、

「この料理は私たちの歴史そのものだ」

と語り、皿を一緒にシェアしてくれた。

この街、滞在の最後の日。

地元のバザールにお土産探しの冒険に出かけた。

「チョルス・バザール」はカラフルな布やスパイス、手作りの陶器で溢れていて、まるで宝探しをしている気分だったよ。

ここのお店の一つで小さな絵葉書を見つけ、迷わず購入したんだ。

そこにはタシュケントの街並みと、青空に輝くモスクの絵が描かれていた。

その店の主人は私に、手作りの陶器のカップを勧めながら

「これを使えば毎日タシュケントを思い出せるよ」

と笑ってた。

結局、そのカップも購入し、今は私の荷物の中に大切にしまっている。

別れ際に タシュケントの最後の夜、地元の家族と一緒に過ごしたんだ。

彼らは私を家に招き入れ、手料理でもてなしてくれた。

食卓には、香ばしいパン「レピョシュカ」や果物が並び、何度も「もっと食べて!」と勧められてね。

笑い声と温かいおもてなしに包まれ、私はこの街が与えてくれる人の優しさを深く感じたよ。


今、この絵葉書を書きながら、タシュケントで過ごした数日間の思い出を胸に刻んでいる。

ここで感じた豊かな文化と人々の温かさが、きみに少しでも伝わるようにね。

次の旅先でもまた便りを送るよ。


きみの友より


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