鳩の骨に対する丁寧な扱いとか、とっても尊敬できるよ

獅子2の16乗

第1話 案山子(かかし)ども

寿々花すずか、つまんないゴミ拾いなんかやめて、カラオケ行こうぜ』

『さっき出席とってたから、内申余裕だし』


 市指定ゴミ袋が空っぽじゃない。こいつら本当に働かないね。それに名前呼び!


「ちょっとあんた達『ゴミはまだまだあるから、カラオケはまだ早いぞ』」


 えっと、槙野まきの君だっけ。


『マジになんなよ、あきら

『もう出席とったんだからいいだろ』

『内申どうのこうのじゃなくでこの河川敷をキレイにするのが目的だろ』

『つまんないやつだな。こんなやつほっといてカラオケ行こうぜ寿々花』


 んー角が立たない言い方は……


「私、今日はまじめに働きたい気分なの。だからカラオケはまた今度ね」


“また今度”は永遠に来ないけど。


『そんなつれねーこと言うなよ』

「イヤなものはイヤ。それに私はあなた達に名前呼びを許してないわよ」

『ほら漆原うるしばらさんイヤがってるからやめなよ』

『うるせー、晶!』


『あんた何やってんの!』

『ゆ、柚華ゆうか莉子りこ

『人に迷惑をかけるなって言ったでしょ!』

『いや、その、これは違くて』

『問答無用! こっちに来い』

『痛たたた。莉子痛くしないでくれ』


『ごめんね、漆原さん。私達の監督不行き届きで』

「監督不行き届きって……」

『まったく、ガキは大変だよ』

「ガキなんですか?」

『ガキだよ、体は大きくなったけどね』

森野もりのさんはあいつを知ってるんですか」

『柚華でいいよ。幼稚園の年少さんからね』

「はい、柚華さん。それは幼馴染ということなんですか?」

『莉子もそうなんだけどね。年少さんのころのあいつったら、しつこくおままごに付き合わされてピーピー泣いてたんだ。おっと、見回りが来る。じゃ、お互いに頑張ろうね』


 ん? 柚華さんが槙野君に話しかけてる。


『槙野君結構いっぱい拾ってるね……』


 後半が聞こえない……あれ、槙野君が赤くなった。

 柚華さんキレイだから無理はないけど……ちがうような?


『う、漆原さん。変な邪魔が入っちゃったけど、お互い頑張ろうね』


 行っちゃった。



 だけど、槙野君ずいぶんたくさん拾ったんだね。市指定のごみ袋がパンパンだった……さっきの案山子かかしどもと違って真面目に取り組んでるんだね。


 私も頑張らなきゃ。


『漆原さん』

「あ、先生」

『結構いっぱい拾ったね』

「はい、不法投棄が多いということなので、喜べないですけど」

『うん、それは同感ね。まあ熱中症にならないように注意してね。それからガラスとかがあったら手を出さずに連絡してね』

「はい」



 いいお天気。

 絶好のボランティア清掃日和ね。



 うん、これはティッシュ……


 で、こっちは袋? にしては小さい……


 違う、避妊具だ、それも使用済みの!

 なんてものが捨ててあるのよ!


「先生! 来てください!!」

『どうしたの?』

「その、これ」


『こんなところで……まあ、私が回収するよ』

「だ、大丈夫なんですか? 知らない人の……ですが」

『手袋を付けてればね。ハァ』


 先生、未婚だし彼氏いないんだったね。悪いことしちゃったかも。



 まあ、あれは先生に任せて……ん、あれは?


 骨!


「あわわわ!」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ご訪問ありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る