第3話 普通

 いや~最初はどうなるかと思ったけど、みんないい感じなってるな。これは俺も期待できそうだ。


「では、最後の方どうぞ」

「はい」


あ~緊張してきた。ふ~深呼吸、落ち着け、きっと大丈夫だろ


固有名:神崎かんざき りょう

種族:人間

称号:回復術師

ユニークスキル:『増加』

スキル:『魔力操作』『回復魔法』


…ふむ、なるほど


「こ、これは…何と言いますか…」

「普通だな」

「普通だねぇ」

「普通ね」

「普通…だね」

「………」

「で、でも回復術師はかなり貴重な存在ですから…そ、その~そんな気負わずに…」


あ~セルビアさんのそのお情けが一番心に来る…


「ま、まあユニークスキルもあるんだしきっとまだ何か隠された何かがあったりするとか…」


と、羽場が同情してくる…


「そうね、きっと何かあるわよ」


西島さんにも同情された…



「そ、そうだな」


正直、なんとなく勘付いてはいた。俺は昔からなにをしても普通だった。運動や交友関係、テストに至ってはすべて平均点。面談で先生に「こんなに平均ピッタリの点数なんて初めて見たよ」と笑われたほどだ。多分隠された力なんてない。きっと、そのままの力だ。まあでも、普通に生きてても幸せだからいいんだけどね…チートが欲しくなかったかと言われればうそになる。


「それでは、皆さんお疲れでしょうし、今日はゆっくりとお休みください。ルーン、案内してあげて」

「はい」


そして、俺たちはすごく気まずい雰囲気のまま宿舎へと向かった。



「今日はお疲れでしょうから、たくさん食べてください」


宿舎に案内され、自分の部屋に荷物やらなんやらを整理していると、メイドさんに呼ばれて今は食事会場に来ていた。


「「「うまい!!!」」」


そう!ここの料理、さすが王城と言ったところかめっっっちゃおいしいのだ。


「うわ、この肉うめぇ!」

「なにこれ、食べたことない!」

「異世界に来てよかったかも!」


さすがは、人間の三大欲求の一つだな。もうみんなこの世界の虜にされている。…さすがは王女、なかなかの策士だな。


「では皆さん、少しお耳を拝借してもよろしいでしょうか?」


そう言って、王女は話し出した


「明日から魔王と戦うために訓練をしてもらいます。訓練内容はそこの騎士団長から説明があります。」


明日からぁ!そんな無茶な!と思ったが、皆からの異論はなかった。なるほど、そのために、こんな値の張りそうな料理を出したのか。食えない王女だぜ、まったく…


「ローズ王国騎士団総団長のカイゼル・メイルだ。これから、長い付き合いになるだろうからよろしく」


そう言って、ごっついおっさんが気さくな感じで挨拶をした。なんかすごい違和感。はっ!これがギャップ萌えか!…まあ、萌えはしないけど。そして、カイゼルさんからの訓練説明があった。


「まず、戦闘職と支援職の二つに分かれてもらう。明日、戦闘職は宿舎から5分ほど離れた訓練場に来てもらおう。担当は俺がする。そして、支援職は、宿舎のすぐ後ろの場所へ来るように。担当は俺の隣にいる第三騎士団団長のエルが行う。エル、挨拶を」


そういうと、先ほどからずっと隣にいる色っぽい美人なお姉さんが挨拶する。


「こんにちわ、異世界の皆さん。よろしくね」


その挨拶だけで数名の男子の心が撃ち抜かれていた。ふっ、ちょろい奴らだな。お前もだろって?お、俺?俺は別に何ともないし?何言っちゃってんの?

…まあ、ちょっといいなって思ったよ


―次の日


「ふぁ~」

「気の抜けたあくびだな、寝不足か?」

「異世界に来て、まだ整理がつかねえんだよ」

「へえ、お前いろいろ大変なんだな」


…馬鹿は楽でいいな、ほんと俺もこいつみたいな頭ならどれだけいいことか


「俺もお前みたいになりたいもんだ」

「え?おい、そんな褒めるなよ照れるだろ?」


褒めてねーよ!


「おっとそろそろ訓練行かねーと、じゃあな!」

「じゃあな」


はあ、ほんとに異世界に来てしまったんだな。そう思いながら俺は、自分の訓練場所に向かうのだった。憂鬱…まあ、でもちょっとあのお姉さんがいるのは、楽しみである。




















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