とっても
第3話
次の日、菅野くんは珍しく遅刻しないで学校に来た。廊下は菅野くんを避ける様に道が開いていく。
「あっ、たもつー!今日は早いな!」
隣のクラスの野上くんは楽しそうに菅野くんに近付き、みんなはビックリしている。
「あぁ、
「でも眠そうだな」
「早起きしたから」
欠伸をかいて私を見つけ笑顔でコッチにやってきた。
「椎夏、おはよう」
「おはよう。今日は早かったんだね!」
私が笑顔を向けるとまだ少し眠そうに頷く。
「今日はなんとか早く支度できたんだ」
そして言ってからハッと私を見る。
「?良かったね」
「お、おー。あぁ、良かった」
不自然な菅野くんに私は少し首を傾げた。
その日のお昼も菅野くんは変だった。
「菅野くん?お弁当、食べないの?」
「ちょっと手違いがあってな……」
はぁ、とため息をつき水筒のお茶を飲む。
「菅野くんっていっつも水筒だね。自販機使わないの?」
「飲み物に金払うとか、なんかバカらしくって」
そう言ってため息をつき私のパンを眺める。
「……たべる?」
私が差し出すと大きく頷く菅野くん。
「良いのかっ?!」
「う、うん……。私、お腹一杯だし」
私がパンを渡すと嬉しそうに微笑む。
「間接キスー」
笑いながらそう言われて逆に恥ずかしくなった。
「うっま!購買のってこんな美味いの?!」
「購買の食べたことないの?」
「だっていつも、まとめて作っちゃうからさ」
……まとめて?まとめて、作る……?
「何と、まとめるの?」
不思議に思い尋ねると少し止まってまた食べ進める。
「そんなこと言った?あー、うっま!」
絶対に言ったし、やっぱり怪しい。菅野くんはなんか怪しい。
そう思った私はある行動に出ることにした。
菅野くんと帰る時、駅で手を振り別れてから改札を通らずに少し経ってから跡をつけた。
……ごめん菅野くん、こんなことして。でも、気になるんだもんっ!
菅野くんは駅から離れると、なぜか駅の駐輪場に入る。
……え?徒歩で帰らないの?
自転車に乗られると、かなり困るんですけどっ!
しかし、しばらく乗ってからスーパーに自転車を止める。
……スーパー?
不思議に思い跡をおいかけた。
その時、菅野くんの自転車を見るとなぜか子供が乗れる椅子みたいのが荷台の上についている。いわゆるママチャリ。
少し不思議に感じて私もスーパーに入る。
すると菅野くんは普通にお買い物を開始する。
その買い物は慣れたもので、野菜を選び、安いものを買ってスムーズに移動。
ただ、見た目は怖いので相変わらずお店でもみんな菅野くんを避ける。
そして菅野くんは冷凍食品コーナーに行き、可愛いグラタンやハンバーグを買う。
菅野くんのお弁当にそんなの入ってるの見たことなかった。
そしてアイスを買って、なぜか自由帳を買って、すごく小さいサイズの上履きを購入して、最後にイチゴ味の歯磨き粉を買う。
……?!何の趣味……?!
目をぱちぱちさせてると、側にあったミートソースの積んであるカートに足が引っ掛かってしまった。
カシャン、とゆう音にこちらを振り返る菅野くん。
「……椎夏?!」
名前を呼んでこっちによってくる。
「何してんの?!」
何て言えば良いか分からず首を傾げてごまかす。
「えっと……、」
私がカゴの中を見るとなぜか隠す菅野くん。
「菅野くんこそ、何してるの?」
私の質問に何も答えず下を向く菅野くん。
「私は、その……。お、怒るかも、だけど。
菅野くんの放課後がなんか、き、気になって……、」
怒ったら怖いのでドキドキしながらそう言うと、はぁ、とため息をつかれた。
「いや……、怒んねーけど……、」
見上げてみると顔が真っ赤だった。
「怒んねーけど、恥ずかしい……」
そう言って顔を隠しレジに行ってしまう。
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