D組3班、班長の苦労
斗花
第1話
点呼の為に部屋の奴らを廊下に並べ部屋に入ろうとした時、担任は俺の肩を叩き「頑張れ、淳士」と、呟いた。
大丈夫、先生は分かってくれている。
俺はしっかり頷き、さっきの班長会で貰った大量の手紙とプレゼントを紙袋に入れて持ち部屋に入って行った。
先に言っとく。
この手紙とプレゼントは俺宛てではない。
「淳士、なんだその荷物」
「さっきの班長会で女子から渡された」
「あっちゃんモテモテだ」
俺は何も言わず窓際のソファに腰を下ろし、一人仕分けを始める。
全く意味が分からないだろうから、ここで部屋員の紹介をしておこう。
米倉秀、イケメン決定戦1位。
大澤和政、軽音部人気バンドドラマー。
伊達義旭、大人気生徒会長。
肩書きだけでもスゴイだろ?
明日、明後日はここに女子四人を加えた八人で行動する。
俺の友人はみんな、羨ましいとか、言うけど。
皆は知らない。
こいつらを扱うのが、どっれだけ大変かということを。
俺は仕分け終わったプレゼントをバサッと寝転ぶ秀の上に置く。
「いって!何すんだよ?!」
「これ。お前に、だってよ」
秀はため息をつき一枚手紙を開くと、みるみる顔を青くする。
そんな秀を見て大澤が手紙を奪った。
「何で秀ちゃんのファンってこんなに強烈なのかね……」
そこには可愛らしい字で、秀くんになら今晩襲われたいです的な内容が記されていた。
「淳士!これじゃ俺が坂本の見張り係になった意味がねーじゃんか!」
「知らねーよ。まぁ、手紙で済むだけマシだろ」
そして大澤には手作りのお菓子を渡す。
「甘いの嫌いなんだってば……」
「甘くなくしてるって言えってさ」
大澤もため息をつき、「ごめんなさい」と、ゴミ箱に捨てた。
「えっ?!捨てんの?!」
「だって俺、彼女いるし。
好きじゃないものは好きじゃないし。
本当に悪いけど捨てるしかないよね」
もったいない……。
でも、まぁ。
反省することもなく、手紙を開かずに捨てる義旭よりはマシか。
こいつらこんなにモテるから、もちろん彼女がいる。あ、秀は今はフリーだけど。
義旭の彼女も、大澤の彼女も、明日行動を共にする。
「くっそー……。
まじで流星先輩を恨む」
秀は布団に倒れ込み鞄の中からメモを取り出す。
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