夏休み
第29話 終業式
学校祭が終わってから夏休みまでの16日間は一瞬だった。
片付けをして、自分の教室に戻ったら普通に授業。でも、その中で夏休み明け直ぐが定期テストだぞと脅される。
まあ、僕ら文化部は夏休み中運動部ほど活動がないので結構勉強はできる。まあ、やるかやらないかの問題だ。
バスケ馬鹿もとい、亮一はきっと最終日までバスケ三昧の生活をするのだろう。
教室の気温は上がり続け、常に300ケルビン、もとい27℃は超えている。(理系の人って絶対温度で気温考えがちだ・ファーレンハイト(華氏)は…… あまり使わない)
教室につけられたクーラーが本当に焼け石に水状態だが頑張っている。みんな半袖Yシャツでなんとか暑さをしのいでいる。
唯一、昼休みと放課後は北側に面している化学準備室で涼むことができる。日差しがないだけで全然気温が違う。
もちろん、準備室にはいつ来ても雛先輩がいる。そして、エネルギー源のチョコを日陰に隠しているらしい。まあ、高温はチョコの天敵だからね。
◇◆◇
そして1学期の終業式を迎えた。7月25日。と言っても、この学校は終業式だろうと、なんだろうと関係なしに授業をやる。そして4時間目、体育館に移動して終業式が始まった。
この暑い中、体育館に約1000人の人がぎゅうぎゅうに詰められるので、学校祭のときよりも全然暑い。それに座って話を聞いているだけなのでテンションも低く、大変だった。
もちろん、2年生は大学入試までの大切な長期休暇だと言われ、3年生は正念場、天王山と言われ、1年生は初めての大切な長期休暇と言われた。
まあ、学校が考えることと行ったら勉強のことしかないよな。そんな話にうんざりしながら、なんとか終業式が終わった。
そして教室に戻ってホームルームの時間になる。成績表がポンと渡された。内申は平均4.6。まあ結構いい感じだ。でも、僕は推薦入試はしないつもりなので、内申はそんなに関係ない。
「じゃあ、自己管理をしっかりな」
と、最後に先生が言った。
「気をつけ。さよなら」
「「さよなら」」
そしてこれから長い長い夏休みが始まる。と言っても、はじめの5日間は学校の夏期講習があるから実質学校と変わらない。
◇◆◇
挨拶を終えると、亮一は早速体育館へと走っていった。弁当を持ってきていて、体育館で弁当を食べてすぐにバスケをするらしい。まあ、あいつらしい。
僕はというと、火曜日なので火夏星さんと一緒に図書室に行った。まあ、特に何も話さずに成り行きでだ。
「そういえば私、夏日星くんと連絡先交換してなかったよね」
「確かに、ほんと、今更だけどね」
そして火夏星さんから連絡先をもらい、連絡がつながった。もしかしたらスマホに女子個人の連絡先が追加されたのは初めてかもしれない…… いや、雛先輩は…… どうなんだ? 化学部のみんなはグループで連絡しているので、あとは亮一と何人かしかいない。
「ねえ、夏休み中も火曜日に勉強会しない? 」
「いいよ。僕も一人だと全然やんなそうだから」
「ありがとう! じゃあ、明成南図書館でいい? 」
明成南図書館というのは、学校から一番近い、駅からすぐのところにある図書館だ。
「うん」
「よし、とりあえずお昼食べに行こう! 」
そして僕達は学校の近くにあるサンドウィッチ屋さんで僕はカツサンドとたまごサンド、火夏星さんはハムサンドとサラダサンドを頼んだ。
今思えば、去年の夏はずっと一人で家にいたかもしれない。もちろん、部活には行っていたけど、そこまで記憶がない。
「というかさ、数学の宿題多すぎない? 」
夏休みに出された宿題は英語の作文のワーク、論理国語、古典のワーク、そして数学のワーク…… そして夏期講習もある。
「まあ、去年の復習もあるからね。一緒にやればすぐに終わるよ」
「そうだね! 」
そう笑う火夏星さんは本当にかわいい。
僕達はサンドウィッチを食べ終わると、ジリジリと太陽が照りつける中、家へと帰った。
◇◆◇
そして翌日、今日から夏休み。かと、思いきや夏期講習が始まる。
「本気で夏期講習いらね〜 」
亮一がうだうだ言っている。
「まあ、そんなこと言ってもしょうがないよ」
2年生は国、数、英、理科の4時間授業を受ける。理科は選択式だ。僕と亮一、火夏星さんは物理を選んだ。他に化学、生物、地学がある。
化学ほど物理は得意でないので、ここらへんでしっかりと苦手をなくしたい。
「でもな〜 それなら普通に学校のほうがいいよ。だって1コマ90分だぜ。死んじまうよ…… 」
「そんな事言わないで頑張るぞ〜 」
「そうだよな。終わったらすぐにバスケできるよな。平日よりいいよな…… 」
全く、こいつの頭の中にはバスケのことしかないのか……
学校につくと、前もって指定されたクラスに移動する。夏期講習はいつもと違うクラスでやるのだ。で、やっと亮一と違うクラスかと思ったら、今度は隣の席だった。全く、腐れ縁も良いくらいにしてくれ。
「よし、昴となら頑張れるぞ! よろしく! プレアデスくん! 」
まあ、5日間の辛抱だ…… 僕は聞こえなかったかのようにテキストを読み続けた。
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