第29話:「探られるふたり」

暴露トーク大会が終わった後の部室。メンバーたちは笑い合いながら片付けを始めたが、奏だけはどこか意味深な視線で紗月と美咲を見ていた。


「やっぱり怪しいよなぁ…。」

「なにが怪しいの?」隣で機材を片付けていた千佳が首を傾げる。


「いや、さっきの紗月のフォロー。普通、あそこまで他人の秘密を守ろうとするか?」

「まぁ、仲良いからじゃないの?」千佳はあっさり答えたが、奏は納得がいかない様子だった。


「いやいやいや、あれはただの友情じゃない。もっとこう…深い何かがあるんだよ。」

「深い何かって?」千佳は呆れたように笑ったが、奏の探偵魂(?)に火がついてしまったようだった。


その日の夕方、美咲と紗月は一緒に帰り道を歩いていた。


「ねぇ、紗月ちゃん。さっき奏くん、すごく怪しんでたよね…。」

「そうだった?別に気にしなくていいよ。」紗月はあっけらかんとしている。


「でも、あの調子だと何か仕掛けてきそうで…。」

「美咲ちゃんって、本当に心配性だよね。」


紗月は微笑みながら、美咲の頭をぽんぽんと叩いた。

「大丈夫だって。もしバレそうになったら、そのとき考えればいいんだから。」


「その場しのぎすぎるよ!」美咲はぷくっと頬を膨らませたが、紗月はその仕草を微笑ましそうに眺めているだけだった。


翌日、部室に入った二人を待ち構えていたのは、奏が用意した謎のホワイトボードだった。そこには「疑惑解明プロジェクト」と大きく書かれている。


「な、なにこれ!?」美咲は驚いて立ち止まった。

「へへっ。これから二人の謎を解き明かす会を始めます!」奏は得意げにボードを指差した。


「ちょっと待って!何の話!?」美咲が慌てる一方で、紗月は冷静だった。

「面白そうだね。それで、どうやって解明するの?」


「質問攻めだ!」奏は拳を握りしめ、勢いよく言い放った。

「質問攻めって…。」千佳が呆れたように突っ込むが、奏はお構いなしだ。


「まずは一つ目の質問!最近、二人でどこか出かけたことはあるか?」

「ないよ。」紗月が即答する。


「えっ、本当に?」奏は疑いの目を向けるが、美咲は何も言えずにただ頷くだけだった。


「じゃあ二つ目!美咲ちゃん、最近紗月に何かプレゼントとかした?」

「え、えっと…。」美咲は顔を赤くして口ごもる。


「お、これは怪しい!」奏が指をさして叫ぶと、紗月がふっと笑った。

「美咲ちゃんがくれたのは、手作りのクッキーだよ。美味しかったから、また作ってほしいな。」


「そ、そんなことわざわざ言わなくていいの!」美咲は顔を赤くして抗議したが、紗月は全く動じていない。


「ねぇ、奏くん。これってただの友達同士でも普通にあることだよね?」紗月は落ち着いた口調で言い返す。


「うっ…そ、それはそうかもしれないけど!」奏は言い返せず、しばらく悩むような顔をしていたが、最後にこう言い放った。

「まだ終わらないぞ!俺は必ず真実を暴いてみせるからな!」


その日の帰り道、美咲はため息をついた。

「なんだか、奏くんがどんどん探偵みたいになっていってる気がする…。」


「いいじゃん。ちょっとくらいハラハラした方が面白いよ。」紗月はケラケラ笑っている。


「全然面白くないよ!次は何をしてくるかわからないし…。」

「大丈夫。何かあったら私が全部受け止めるから。」


紗月のその言葉に、美咲は少しだけ安心した。だが、心のどこかで不安が完全に消えることはなかった。


次回予告

奏の追及がエスカレート!?軽音部メンバー全員を巻き込んだ「疑惑解明ミッション」が始動する。紗月と美咲はこの危機をどう乗り越えるのか!?

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