第15話:恋人未満恋人以上?

美咲と紗月がお互いの気持ちを確認し合ってから、初めての月曜日がやってきた。

紗月は朝からハイテンションで、美咲のアパートのドアを勢いよくノックした。


「美咲ちゃーん!迎えに来たよー!」

「ちょ、紗月ちゃん!まだ髪の毛もセットしてないんだけど!」

美咲は慌ててドアを開け、寝癖のついた髪を指で押さえながら顔を出す。


「いいじゃん、寝癖も可愛いよ。」

「からかわないで!」

美咲は恥ずかしそうに頬を赤らめるが、紗月は悪びれる様子もなくニコニコしている。


「じゃあ、私が髪の毛整えてあげる!」

「えっ?いいってば、自分でやるから。」

「だーめ、恋人として最初のお世話だもん!」


紗月はさっさと部屋に上がり込み、美咲の髪を櫛で整え始める。

「こういうの、意外と楽しいかも。」

「全然楽しくないから…。あ、そこ引っ張らないで。」

二人は朝からドタバタを繰り広げたが、なんだかんだで美咲は心の中でほんのり嬉しさを感じていた。


キャンパスに着くと、軽音サークルのメンバーたちが二人を見て何やらひそひそと話し始めた。


「最近あの二人、すごく仲良くない?」

「うんうん、なんか雰囲気変わったよね~。」


二人の仲の良さはもともと有名だったが、今はさらに距離が縮まったように見えるらしい。

美咲はその視線を感じて顔を赤くしながら小声で紗月に囁いた。

「紗月ちゃん、なんかみんなこっち見てるんだけど…。」

「気にしなくていいよ!それより、美咲ちゃんはどう思う?私たちってバレバレなのかな?」


紗月は気にするどころか、むしろ楽しそうな様子だった。

美咲は小さくため息をつきながら答える。

「どうだろう…でも、紗月ちゃんがそんなに嬉しそうだから、逆に怪しまれる気がする。」

「そっか、じゃあもっと控えめにするね!」

と言いつつ、紗月の顔には笑みが浮かんだままだった。


その日の放課後。

紗月は美咲を誘って、大学近くのカフェに立ち寄ることにした。

店内に入ると、ふんわりとした甘い香りが漂い、紗月はすぐにショーケースのケーキに目を輝かせる。


「美咲ちゃん、これ見て!このケーキ、超可愛くない?」

「紗月ちゃん、さっき昼ご飯めっちゃ食べてたよね…?」

「別腹ってやつだよ!」


紗月は嬉しそうにチョコレートケーキを指さし、美咲も結局つられて紅茶と一緒にショートケーキを注文した。


「こうやって二人でカフェとか来るの、なんか新鮮だよね。」

紗月は紅茶を飲みながら言う。

「うん、たしかに。なんだかデートっぽいかも。」

美咲がぽつりとそう言うと、紗月の顔が一瞬で明るくなった。


「デート!いいね、それ。じゃあこれ、私たちの初デートってことで!」

「いや、そんな大げさな…。」

美咲は照れくさそうに笑ったが、心の中では「デート」という言葉にほんのりとした嬉しさを感じていた。


カフェを出た帰り道。

夕焼けが街をオレンジ色に染める中、二人は並んで歩いていた。


「紗月ちゃん、ありがとう。今日はなんだか楽しかった。」

「私も!やっぱり美咲ちゃんといると、なんでも楽しくなっちゃう。」


紗月の言葉に、美咲は自然と笑みを浮かべる。

そして、ふと隣を歩く紗月の手に目を向けた。


(紗月ちゃんの手…。繋いだら、どんな感じなんだろう?)


一瞬迷ったが、美咲は勇気を出してそっと紗月の手に触れた。

「えっ?」

紗月は驚いたように振り返るが、美咲は視線をそらしながら小さく言った。


「なんか…こうしたくなっただけ。」


その言葉に、紗月は目を丸くした後、柔らかく笑って美咲の手を握り返した。

「美咲ちゃん、可愛い。」

「可愛いとか言わないで!」

二人は顔を赤らめながらも、手を繋いだまま歩き続けた。

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