第7話:二人きりの特別な準備
週末の軽音サークルの練習後、部室で優先輩が大きな声で告知を始めた。
「みんなー!来月の大学祭に向けて、うちのサークルもステージ演奏することになりました!」
一同が「おおっ!」とざわめく中、優先輩はニコニコしながら続ける。
「でね、今年は演奏だけじゃなくて、サークルの展示ブースも出すことにしたの!その準備を少しずつ始めるから、みんな協力よろしくー!」
紗月がすぐに手を挙げる。
「展示ブースって、どんな感じにするんですか?」
「ポスター作ったり、楽器を置いて体験コーナーにしたりする予定!だから手作り感満載の装飾もお願いね!」
その言葉に、紗月は目を輝かせながら隣の美咲を見た。
「美咲ちゃん!これ一緒にやろうよ!」
「えっ、私も?」
「もちろん!二人でやったら絶対楽しいよ!」
こうして、美咲と紗月は大学祭の展示ブース準備係に任命されたのだった。
翌週の放課後。サークルから支給された画用紙や装飾品を持ち寄り、美咲と紗月はキャンパスの一角で作業を始めた。
「こういうの、あんまりやったことないんだけど…」
美咲は手元の画用紙を見つめながらつぶやく。
「大丈夫だって!私がいるんだから!」
紗月はやる気満々で、マーカーを片手にポスターにタイトルを書き始めた。
「えっと…『軽音サークルへようこそ!』でいいかな?」
「いいんじゃない?でも、字がちょっと…」
美咲が言いかけると、紗月が「えー、何よー!」と抗議する。
「だって、こういうのって勢いが大事でしょ!きっちりやりすぎると面白くないよ!」
「そうかもしれないけど…」
そんなやり取りをしているうちに、美咲も少しずつ作業に慣れてきた。
紗月が楽しそうに装飾を追加する横で、美咲は慎重にポスターの縁を飾り付ける。
「美咲ちゃん、こういうの意外と上手だね!」
「そうかな?ただ、やること多すぎてちょっと大変だけど。」
「じゃあさ、これ終わったら一緒にカフェ行こうよ!甘いもの食べてリフレッシュ!」
紗月のその提案に、美咲は思わず笑顔になった。
「それはいいね。じゃあ、もう少し頑張ろうか。」
作業がひと段落し、紗月が手に絵の具をつけながらふざけて笑う場面もあれば、美咲が真剣に飾りを整える場面もあり、二人の性格が対照的ながらも絶妙にかみ合っている。
紗月がふと手を止めて、美咲を見上げる。
「ねぇ、美咲ちゃん。」
「なに?」
「こうやって二人で何かするのって、なんか特別じゃない?」
美咲はその言葉に一瞬戸惑いながらも、少し考えてから頷いた。
「うん…特別かもね。」
「だよね!美咲ちゃんといると、普通のことがすごく楽しくなるんだよ。」
紗月の無邪気な笑顔に、美咲はどこか胸が暖かくなるのを感じた。
「私も…紗月ちゃんと一緒だと楽しいよ。」
その答えに、紗月は一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに嬉しそうに笑い返した。
「じゃあ、これからもよろしくね、相棒!」
「うん、よろしく。」
その後も準備は順調に進み、二人の関係もさらに近づいていく。大学祭に向けての新たなステージが、二人をさらに強く結びつけていく予感を秘めていた――。
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