第7話 配達ドライバー
「あれ、この住所……え、これ、マジ……?」
「……どしたの」
「あの、先輩これって、もしかして庭にめちゃくちゃごみ積んである家だったりしませんか? しかも全部人形の頭とか腕とかパーツの……」
「ああ……うん。そうだね」
「へぇーーっ! あの家人住んでたんだ! しかもネットで買い物とかする人ぉ……? はぇーー」
「………………」
「あ、すいません。今朝話したじゃないですか、俺ここらへんが地元でーって。あの家ケッコー有名なんですよこの辺だと。不気味な人形のごみがドカドカ捨てられて山になってて、近づくと呪われるとか、人形に追いかけられるとか!」
「そうなんだ」
「で、誰もその家に住んでる人を見た事ないらしんです。窓に映る人影とか、歌声みたいな声は聞こえてくるけど、どんな人が住んでるのか誰も知らない。というかほんとに住んでるのか? みたいなかんじで!」
「そう」
「へぇーーっ、俺たちこれからあの家に配達行くんだぁ……。へへ、なんか肝試し行くみたいでテンション上がってきましたね!」
「…………そうだね」
「っすね! いやー、わくわく、わくわく」
「…………俺も、…………ないよ」
「え、なんすか?」
「……俺も。 住んでる人見たことない」
「? ……あ、置き配か。あー…………」
「………………」
◇
「先輩、オレ行ってきていっすか?」
「……ダメ」
「えぇー! お願いしますよ、変な気とか起こさないんで!」
「……羽山君。荷物からお客さんのこと想像するのってあんまりよくないことだから」
「え、ああー……」
「今回は弁えて」
「…………うす」
「……ちぇ、なんで今言うんだよ。っさては、ノリ違いすぎてうぜーってなったパターンかぁ? オレだって気まじーなと思いながら頑張って盛り上げようとしてんのによぉ……………… え、あれ?
玄関開い……おわ、女の人じゃん! え、あんな綺麗な人住んでんの!? え、えーっ! はあー? これ、じゃあ、先輩そういうことかぁ? 自分が渡したかったからってこと!? はあ~~~~!!」
「…………じゃあ次行こうか」
「いや先輩。いやいや先輩。先輩って」
「………………」
「あれなんすか。女の人出てきましたけど。めちゃくちゃ綺麗な。もしかして先輩、自分が渡したかったから俺置いてったんすか」
「…………」
「はーっ。住んでる人見たことないとか嘘までついちゃって! 先輩意外とロマンティックなとこあるんすねー。配達先の女の人に恋……とか、はは」
「……」
「俺、 住んでる人見たことない って、言ったよね」
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