第6話 石橋を叩いて渡らずにぶっ壊して鉄筋コンクリートにしてみる。

 

 

 ここで調子に乗ってレーザーぶっ放せば楽勝とかやれたら良いが、世の中そんな甘かないだろう。


 試しにレーザーポインターのように細くて弱いやつを出そうとしてみたが、頭上で何らかのエネルギー的なヤツが収束しようとした所でバチッ! と紫電が弾けてプスプスと煙が出てしまった。どうやら今の練度ではレーザーを出せるまでには至れないらしい。


 やはり高火力な現象を再現するにはそれ相応の対価が必要なんだろうな。それが内包する魔力的なものなのか、外部に存在する何かを取り込むなり変換するなりして用立てるのか定かで無いようでは何も具体的に始められやしない。


 まずRPGのMPのように手持ちの保有魔力リソースを消費するようなシステムの場合、残弾量を完璧に把握しなければならない。ただ弾切れするだけならまだしも、行動不能になったらほぼそこで終わりだからな。


 次は外部に存在する何かを取り込むパターン。この場合も無限に戦えると勘違いするべからずだ。火事で気付かぬ内に酸欠になってしまうように、周囲の資源が一時的にせよ枯渇すれば即MP切れと同じ事が起こる。どちらの場合にせよ効率が良ければ生存確率はケタ違いに上がるだろう。


 後は一番面倒だが精神力を消耗したりや脳の処理能力に負荷をかけるもの。戦いが長引けばジリ貧になるやつだ。この場合はひたすら経験値を増やして地道に鍛えていく以外に解決策が無い。そうなると短期間ではどうにもならんのよ。


 取り敢えず食料に関してはある程度の目星が付いた。これで更に安全な水場があれば言うことは無いが、それはまた後でも良い。何なら電気を使って海水から真水を生成出来なくも……まあコレは必要に駆られればだな。


 そうと決まれば安全を確保した上で俺の紫電を攻撃面で実用域にまで引き上げ、その限界を見極める検証と実践、そして上手く行ったら完璧にこなせるまで反復だ。




 ……あれから検証に3日を使った結果、良くも悪くも想定内な結論に至った。


 それは基本的には体内で最適化した蓄積エネルギーを能力の発動に使い、適宜外部に存在する何かしらのエネルギーを取り込んでは変換し、高度な能力を使用したり長時間能力を使用し続けると精神的に消耗する。つまりは全部正解あたりだな。


 強力な武器を使いたければエネルギーの内部保有量を増やさにゃならんし、継戦能力を上げるには外部からのエネルギー取り込み速度と変換効率の向上は不可欠。もちろんちょっとした攻撃をしてすぐ疲れてしまうようでは話にならない。



 ただいつまでも波が打ち付ける崖下の岩場に居続けていてもつまらんし。とっととここから脱出して、この世界にまともな文明があるかを確かめたいんだよ俺は。

 

 

 

 

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