デイリー柴崎。~うっかり転生シバわんこの異世界サバイバル~

新佐名ハローズ

第1章 うっかり転生(?)、即ピンチ。

1-1 ハナからクライマックス?

第1話 唐突にレッツ・サバイブ。

 

 

 ――光る海、輝く大陽、崖っぷりの良いとんがった崖先。


 強めの潮風が俺に容赦なくぶつかり、無意識にを踏ん張ってそれに耐える。体重が思ったより軽いから油断すると危ねー。


 俺の名前は柴崎しばさきコウスケ。24歳独身男・彼女なし。特に何を成したとかそんなもんも無く、地元の中学を卒業して適当に選んだ高校・大学に行き、転勤のない会社に入ったは良いが社風が合わずに二年弱で自主退職。


 貯金も大して無いし、当面の生活費凌ぎに某コンビニでバイトしつつ細々と就活を続けていた……はずだったんだがなぁ。


 ここが何処だかはサッパリ分からん。サスペンスドラマばりの高めの崖からでっかい海が見えてる。寒くも暑くもない。潮風はキツいが。


 天気は快晴だな。厚めの雲が所々に浮かんではいるが、遠いから日差しを邪魔するもんではない。



 ……そろそろ現実に戻ろうか。諦めて後ろへ振り返ると、俺を追い詰めていた奴らはやっぱり消えちゃいなかった。


 見た感じは人間の手のひら大はある色付き半透明な跳ね回るゴムボール。複数個体でバインバインと勢いをつけて突撃してきやがる。


 単体なら動きをよく見て避ければ良いんだが、あらゆる方向から同時に来られるとこちらの選択肢は限られる。


 こういうのはもっとイージーにブヨブヨした弱っちいスライムとかじゃ無いんかいと文句クレームを付けたくもなるが、それが誰かに届いた所で対処してくれやしないし、今の俺ではその声も伝わらんだろうよ。


「うぅ~っ、がうっ! わうっ!(上等だ、かかってこいやゴム野郎!)」


 お察しの通り、俺は人では無い。サイズ感的に多分犬かオオカミ的な何かだろう。まだ自分の姿を見られてないんだよな。


 転移転生モノとやらの定番でフェンリルとかを期待したいが、周囲を氷と吹雪が渦巻いて敵を薙ぎ倒すなんて都合の良い魔法マジックはこれっぽっちも起こりゃしない。



 まあそのうち成長したら出来るかも知らんが、今は目の前にいるゴムボールスライム(仮)共をどうにかしないとその先すらも訪れんしな。

 

 

 

 

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