第5話 病院にいる

サッカーボールを蹴る春樹。


小2くらい?


『キャプテン翼』を見て、すっかりその気になっている。



『これが最後のチャンスだチャンスだ。目を開けろ開けろ』



うるさい。


さっきから何なの、その変な語尾の繰り返しは!



ばりん、と音がしたかのようにまぶたが開いた。


白い。


独特の匂い。


私、病院にいる。


首を動かそうとしたら、頭のてっぺんから爪先まで激痛が走った。


じわじわと痛みが広がっていく。


足、腕、お腹のあたり、首から頭へ。


痛みはほぼ全身じゃん。


ゆっくりと目を動かす。


私、個室にいる。


看護師らしき人はいない。


こんな状態で、一人にする? 


モニターは付いているけれど、呼吸器もつけていない。


点滴は……、紫の袋はブドウ糖?


唾を飲み込んだら、咳が出そうになった。


咳をしたらどれだけ痛いかと思って堪えたら、腹筋が痛んだ。


やっぱり、まぶたを閉じることにする。


このままこのまま。


このまま眠ってしまう。


それで、いいんだっけ……?

 

よくない! と、勢いよくまぶたを開けた。

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