知恵と本能

森本 晃次

第1話 男女交際

この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和6年3月時点のものです。時代背景と時代考証とは、必ずしも一致するわけではありませんので、ご了承ください。一種のパラレルワールドでしょうか?


 今年になって、まだ1カ月しか経っていないというのに、もう、春の気配が感じられる。

 確かに、

「一月から三月までは、あっという間に過ぎる」

 というが、それは、冬のように、寒さから体を動かすことができないということで、先の見えないことにより、身体が固まってしまうことで、却って、集中してしまうということから考えられることではないだろうか?

 夏は、そういう意味では、なかなか時間が経ってくれない。

「夏の暑さに弱い」

 と思っている人にはたまったものではないだろう。

 しかし、バカンスといえば、夏のイメージが強い。

 冬であっても、

「ウインタースポーツ」

 というものがあり、スキーや、最近では、

「スノーボード」

 などのようなものもあることで、楽しむ人も多いだろう。

 要するに、

「山が好きか、海が好きか?」

 という選択になるのではないか?

 ということになるのであった。

 冬が早く終わったというのは、間違いなく錯覚で、実際には、まだ二月に入ったばかりだったのだ。

 季節としては、確かに、立春、節分ということで、

「春に入った」

 といって間違いではないだろう。

 しかし、春というのは、

「動物や虫が、冬眠から覚め、穴から出てくる」

 ということであるが、実際に、出てくる様子がないほどに、凍てついているのであった。

 冬が本格的になるのは、毎年大体一月中旬くらいからであろうか。その頃になると、

「雪が降り始めて、数日降れば、屋根の上などに、雪が残っている」

 という光景がみられるというものだ。

 確かに、雪は、降った後はきれいだが、道路などで車が通ると、そこは、アスファルト上であっても、埃と一緒になり、せっかくの白い色が、真っ黒になるというものである。

 そんな光景を、毎年のように見ているので、一年ぶりのことでも、

「まるで昨日のことのように思える」

 というわけであった。

 これは、春になっても、同じ気持ちになる時がある。

 それが、

「桜が散る時」

 ということであるが、桜も、花見の時はきれいで、精神的にも、華やかになれるというものだが、これも、永遠のものではない。

 雨が降れば、花びらは散るのだ。

 雨に打たれて散った花びらは、道に落ちて、水の重みで、地べたにべったり、へばりついている。

 晴れた日に、

「風に揺られて優雅な光景」

 というものと打ってからって、完全に、散ってしまった花びらは、

「見る影もない」

 ということになるのであろう。

 桜というものは、いろいろなものに例えられるが、一番よく言われるのは、

「受験などの合否」

 ではないだろうか?

 進学、就職の合否に対して、

「桜咲く」

「桜散る」

 なという言葉で表される。

 しかし、実際の試験というのは、そのだいぶ前で、

「進学の場合には、二月。三月」

 という時期であったり、

「新卒による就活」

 という場合では、その年度のほとんどの時期に、その言葉が当てはまるといってもいいだろう。

 特に就活ということになると、時期としては、

「大学生なら四年生の時、高校生なら、三年生の時」

 ということで、

「結構幅がある」

 といってもいいだろう。

 最近は、なかなか就職難ということのようで、特に、

「世界的なパンデミック」

 というものが起こってからは、その傾向は強く、

 さらに、

「最近では、円高などによる物価高」

 というものも影響しているのか、なかなか就職活動も難しいようである。

「実際には、今の時代は人手不足と言われているのに」

 という話も聞くが、

 実際に世の中、

「うまく歯車が噛み合わない」

 というものである。

 ここしばらくは、雨も降らずに、いい天気で、気温も高かったのだが、昨日くらいから、気温が急に下がり始めて、昨夜は雪になったのだった。

「この冬初めての、積雪」

 ということで、

「降るとしても、ほとんど、残らないだろう」

 と思っていたが、予想外にも、

「結構雪が残った」

 ということで、車も、スノータイヤ装備となっていた。

「そういえば、ずっと、二月に入ってから、なかなか時間がすぎない」

 と思っていたが、逆に今では、

「もう中旬に入ったんだ」

 という意識だった。

 今年は、カレンダーの巡りからか、

「建国記念の日」

 が、日曜日と重なったことで、

「三連休」

 ということになるのだった。

 そして、今日は、その三連休が明けての13日ということで、

「まさに中旬」

 ということである。

「大安ということもあり、結婚式のところも多いのではないか?」

 ということで、

「雪というのであればまだいいが、一番の最悪は、その後雨にでもなった時である」

 というのは、誰もが考えることだろう。

 しかし、式場の予約などの結婚式における一連の手配は、相当前からやっていることなので、

「結婚式の日の天気」

 というものを予想するなど、ほぼ不可能であろう。

「運を天に任せる」

 というくらいしか考えられないというものである。

 齋藤和貴は、来週、友人の結婚式を控えていたので、今から、なんとなくソワソワしていた。

 結婚式に呼ばれるなど、初めてのことだったからだ。

 そもそも、最近では、

「結婚式などしない」

 という人が増えていると聞いた。

「お金がもったいない」

 というのが、そのほとんどの理由であろうが、そんな、昔からのしきたりなど、バカバカしいと思うのは、誰もが感じていることだろう。

 さらに、今は、

「数分に一組は離婚している」

 と言われている時代であり、

「結婚に何の意味があるというのか?」

 という発想もあり、結婚しない人も増えてきたのだ。

「普通に知り合って、結婚する」

 というのは当たり前のことだが、知り合う機会もない人が増えているのも事実で、それだけ、

「異性に関心がない」

 という人も多いようだ。

 ただ、最近は、よく

「婚活」

 という言葉を耳にする。

 それは、

「結婚相談所を使うのか」

 それとも、

「それ以外の手段を使うのか?」

 ということによって変わってくる。

「結婚相談所というのは、昔からオーソドックスで、決まりも厳しく、完全会員制」

 ということになる。

 その変わり、

「皆真剣に結婚を考えていて、変な人に当たることはない」

 ということで、その変わり、

「値段もそれ相応にかかる」

 ということである。

 それ以外というと、一昔前くらいであれば、お見合いパーティというようなものがあった。

 それは、主催するイベント会社のようなところが、会場を借りたり、自分たち所有の会場で、午後と夜の二回くらいで、それぞれにコンセプトをもって行うものであった。

 コンセプトといっても、条件であったり、募集メンバーの範囲であったりする。

 例えば、

「40歳代の男女」

 であったり、

「年収いくら以上」

 などというもので、範囲を決めておくと、参加者、特に女性側からすれば、安心して参加できるというものだ。

 そして、参加費用も、男性は、大体三千円から五千円くらいの間だが、女性は千円という格差を設けることで、男女比を均等に保つように計算されていた。

 これによって、たまに弊害もある。

 女性は。簡単に参加できるということで、中には、ほとんどのパーティに参加しているということであるが、もし、男性がそれを知ったとしても、男性も複数参加しているわけで、

「人のことはいえない」

 ということになる。

 そもそも、複数回に申し込んでいたって、悪いことではない。むしろ、

「それだけ積極的ということで、いいことではないか」

 といえるだろう。

 その人とカップルになったにも関わらず、また女性が他の会に出席していたのだとすれば、それは、

「男性側に魅力がなかった」

 ということになるのではないだろうか?

 もちろん、中には、真剣交際というよりも、

「半分、冷やかし」

 という人もいるだろう。

 しかし、それも、ごく少数で、安いとはいえ、お金がかかっているのだから、ほとんどが真面目に考えているとみていいだろう。

 それでも、一度カップルになった女性がまた参加していると男性が知ると、

「これから、せっかく仲良くなっていこうと、いろいろこれからの交際について考えていたのに」

 ということで、ショックと、興ざめから、

「お見合いパーティなんて」

 と、もう二度といかなくなるという人もいるだろう。

 パーティの内容として、まず、参加人数は、男女ともに、20人以下くらいというのが、大体のパターンではないだろうか?

 そして、男女比も、そんなにあるとやり方から、なかなか進行が難しいこともあり、そうなると、

「今回は中止」

 ということになりかねない。

 実際に当日になると、会場に事前予約をしている人がやってくる。会費を払うと、着席するわけだが、会場は、奥に、

「1対1」

 の席が用意されていて、まずは、そこに、男女ともに、番号が示され、その番号のバッチと、紹介カードのようなものが渡される。

 そして、

「パーティ開始前までに、紹介カードを埋めてください」

 と言われるのだ。

 だから、パーティに参加する人は、開始20分以上前くらいからきているのが、

「暗黙の了解」

 ということであろう。

 そのカードに記入する内容は、

「自分のプロフィール」

 である。

「個人情報にかかわることは任意になっているので、あとの、趣味であったり、特技、仕事の体制。例えば、休みがシフト制であるとか、平日休みなどを列記する」

 ということになっている。

 時間の関係上、この紹介カードというのは、しっかり埋めておくことが、自己アピールに綱がるというものだ。

 これが面接であれば、

「履歴書」

 や、

「職務経歴書」

 と同じだといえるであろう。

 それを考えると、おのずと真剣になって書くというものだ。

 パーティの進行としては、最初に、番号で決まった席に着席することになるのだが、当然目の前には同じ番号の女性が来ることになる。

 時間になると、イベント会社のスタッフが、会の進行について説明するのだが、それによると、

「まずは、番号の通りの席におつきになり、最初は1対1での、お見合いタイムとなります。約三分での、自己紹介を行っていただき、女性はそのままで、男性が、時計回りに、移動していただき、最後に元の席に戻ってこられれば、それで終了です。男女比に違いがありますので、誰か余ってしまうことになりますが、その時はすみませんが、相手がいない方は、そのまま三分をやり過ごしてください」

 という。

「なるほど、男女比に差があるということは、こういうことになるのか」

 と納得した人も多いだろう。

 スタッフは続ける。

「ですから、今お渡ししている紹介カードへの記入が大切になります。三分という限られた時間ですので、話をしながら、カードを確認するということであれば、時間の節約にもなるし、それが、時間の有効活用にもなります」

 と言った。

 これにも、参加者は、納得したことだろう。

 さらに、スタッフは続ける。

「それが終わると、少し休憩時間を持ちますので、あとは、2回に分けて、ツーショット時間を設けます。もう一度お話したいと思う相手に、今度は自分から話しかけてください。これが、本当のお見合いという形になりますね」

 ということであった。

「会場には、ドリンクと、ちょっとしたスイーツをご用意しておりますので、ご自由にご飲食ください」

 ということであった。

「なるほど、これも、気遣いを見せるという意味ではいいことだ」

 と考えた。

 齋藤は、そんなパーティに、数回参加したことがあった。

 当時は、まだ30歳であったが、女性と付き合ったことはあったが、いつも、数か月で別れることになった。

 相手から、別れを切り出されるのだが、その理由に関しては、何も言われないのだった。

 それも、いつもいきなりだったので、

「なんでなんだ?」

 としか思っていなかった。

 最近では、少し分かってきた気がする。

「理由に関しては、相手によって細かいところは違うのだろうが、相手が、理由を言わずに別れるのは、相手の気遣いであり、自分を傷つけないようにしてくれている配慮だと思うと、逆に、その理由が分からないことに、自分で自分に憤りを感じる」

 ということであった。

 だから、

「お見合いパーティに参加してみよう」

 と思ったのだ。

 さすがに、当時ケイタイなどであった。

「出会い系サイト」

 というものに手を出す気にはならなかった。

 会社の同僚で。デイ系サイトに手を出したやつがいて、その手口を詳しく教えてくれたのだ。

 出会い系サイトにおいては、ほとんどが、サイト内での、DM形式のやり方になる。

 まずは、サイト内で、自分のプロフィールを登録し、それを、登録者として、検索できるようにする。

 ここまでは、無料なのだ。

 そこからが、ポイント制ということになり、あらかじめ100ポイントくらいのサービスが与えられている。

 そこで、例えば、

「紹介カード検索すれば、一件について、3ポイントなどと、ポイントが使用されることになる。メールを送れば、2ポイント、相手のメールを見るには、3ポイント必要などということである」

 これはうまくできているもので、

「最初に100ポイントあるのだから、細かいやり取りに、そんなにポイントを使わないので、これくらいだったら」

 ということで、ポイント設定に対して、

「善意だ」

 と思い込んでしまうだろう。

 そうなると、メールのやり取りが、

「引き延ばそうとしている」

 ということに気づかず、

「ポイントがなくなりそうになれば、課金をする」

 ということになっても、

「これくらいなら」

 と、あまり気にもならないということになる。

 それよりも、

「せっかくメールのやり取りができているのだから、返事に時間が掛かってしまい、やり取りができなくなることを恐れる」

 ということになるのだ。

 こうなると、完全に、

「相手の術中にはまってしまった」

 ということになるだろう。

 会話をしているメールの相手というのは、実は皆サクラであり、

「一人のバイトの男(あるいは女)が、数人を相手に返事をしている。だから、こちらが、寸時に返事を送っても、こちらに対しての返信に一時間以上もかかってしまう」

 ということになるのだ。

 しかも、その内容が、まるで、

「たった今来たことに対して返事をしている」

 という感覚だ。

「遅くなってごめんなさい」

 などと書かれてはいない。

 なぜなら、一人で数人を相手にしているので、混乱してしまっているのだろう。

 中には、明らかに自分でない人への返事だと思うものもあるが、嵌ってしまうと、木にもならない。それだけ、

「出会い系」

 というのは、課金に、さほどの罪悪感を感じず、頻繁に行っても、そんなに高額ではないので、気が付けば、

「数日で、数万円を使っていた」

 ということを後になって気づかされるというものだ。

 それだけ、相手としても、

「ぼろい商売」

 といえるだろう。

 男の気持ちを持て遊んで、しかも、金をふんだくる」

 というのだから、それは社会問題にもなるだろう。

 ただ、中には、本当にサクラではない、

「出会い系」

 というのもあるもので、ただ、そうなると、

「出会い系というものを利用するのは、純粋な交際相手を見つけるというコミュニテーではない」

 という人が多い。

 男も女も、身体目的、つまりは、

「不倫相手を探したり」

 というのが、主だったりするだろう。

 さらに、その前ということになると、

「テレクラ」

 などというものがあったが、それが、

「ネットに変わった」

 ということであろう。

「テレクラ」

 というのは、実際にどういうものだったのかということは、実際には知らないが、これも人から聞いたことであったが、

「Ⅴシネマ」

 であったり、

「小説などで見たことはあったので、興味を持って、ネットで調べたことがあった」

 さらに、人に聞いたこともあったくらいだ。

 こちらかは、どこかの雑居ビルの、ワンフロアに中に、個室が、数個用意されていて、そこには、テーブルと、パソコン、さらには電話が置かれている。

「部屋の広さとすれば、ネットカフェの個室より、少し狭いくらいだったのではないか?」

 と書かれていた。

 完全に密閉されていないので、隣の部屋の電話の会話も聞こえてくるというくらいだ。

 部屋を借りるということで、ネットカフェのようなシステムで、部屋に入ると、電話が取れるように設定しておいて、電話が鳴るのを待っているという形だ。

 この際には、大きく分けて。2つの方法があるという。

 一つは、

「すべての部屋の電話が鳴る」

 というやり方である。

 つまりは、

「早いもの勝ち」

 ということで、中には、受話器に最初から手を掛けていて、瞬時に出るという人もいるだろう。

 そして、もう一つとしては、

「順番に流れていくという形である」

 まずは、最初に掛かった人と話をして、その人と交渉がうまくいかなければ、男が電話を切ると、今度は、次の男性に掛かるという仕掛けである。

「女の子は、電話代が大変ではないか?」

 ということになるが、実はそうではない。かけてくるのは、

「フリーダイヤル」

 に対してなのだ。

「どうしてすぐに、その番号が分かるのか?」

 というと、駅前や繁華街で、アルバイトがよく、

「ティッシュ配り」

 というものをしていたが、そこに書かれている番号が、

「テレクラのフリーダイヤル」

 ということになるのだ。

 ティッシュ配りというと、他には、消費者金融のようなところということで、そのほとんどが、

「怪しいところ」

 ということになるだろう。

 今は、だいぶいいのかも知れないが、当時は、

「怪しさ満載だった」

 といえるだろう。

 今の時代には、ティッシュ配りはないのだが、それは、

「テレクラというものがなくなり、消費者金融も、やり方が変わった」

 ということで、

「ティッシュ配りというのは、一種の時代だった」

 ということになるのだろう。

「テレクラ」

 というものは、

「自由恋愛」

 と言えば聞こえはいいが、

「一種の風俗」

 といってもいいだろう。

 そもそも、電話を掛けてくる女性というのは、

「援助交際目的」

 がほとんどで、それ以外は、

「冷やかしだった」

 といってもいい。

 いや、それは男性も同じで、もっといえば、男性の方が、援助交際目的というのは、ハッキリしていたのかも知れない。

 何といっても、お金をかけて、その場所にいるのである。それも当たり前といえるだろう。

 だが、実際に、交渉が成立し、待ち合わせ場所にいっても、戻ってくる人も結構いたりする。

 だから、お店とすれば、契約した時間内でお客さんが出ていく時は、

「外出」

 ということにする。

 そして、外出してから、数十分して戻ってこなければ、

「キャンセル」

 ということにして、部屋を解放するのだ。

 その時は、きっと二人は出会えて、そこから何かの進展があったということになるからだった。

 だが、時間内に戻ってきた人は、

「ああ、遭えなかったんだな」

 とスタッフは思うことだろう。

 もし、待ち合わせ場所にいっても、女性がその場で待っているということは、まずない。女性側も、

「どんな人がくるのか、怖いだろう」

 特に、

「もし、知り合いだったら?」

 という気まずさがあったり、

「以前相手をして、嫌だった記憶があれば、最初から遭う気はしない」

 ということになる。

 さらに、最初から、

「ああ、あいつは嫌だ」

 とインスピレーションで感じる人もいるだろう。

「そういう人はこちらからお断り」

 ということで、次の相手を探すのに、また電話を掛けるだろう。

 男も、女が現れないので、ボーっと待っていてもバカバカしい。

「約束の時間に遅れるような女は、こっちから願い下げだ」

 と男の方も考えるであり、またお店に戻って、残りの時間をそこで過ごすことになる。

 そうなると、

「さっき待ち合わせた女がまたかけてくる」

 ということもあるだろう。

 男は、

「あの女だ」

 と分かったとして、どういう態度を取るだろう。

 ムカッときて、すぐに電話を切る人もいるかも知れないし、初めてのふりをして、からかってやろうと考える人もいるだろう。

 どちらにしても、そんな相手しかかかってこない時も多く、

「時間帯にもよる」

 というのが、テレクラだったりする。

 男性の方も、

「平日の昼間から、こういうところにいる人」

 というのは、

「営業の時間つぶし」

 であったり、休みの人が多いだろう。

 中には学生もいる。

 営業の時間つぶしであれば、一歩会社の外に出れば、なんでもありと思っている人もいるようで、もし、このまま出会えたとすれば、会社には、

「このまま直帰する」

 と言えばいい。

 というくらいに考えていることだろう。

 とにかく、女性も男性も、冷やかし以外は、

「目的は一つ」

 ということであろう。

 そんなテレクラも、次第になくなっていった。

 というのも、ネットの普及などにより、

「電話よりも、メールのやり取り」

 という、

「出会い系」

 というものが流行り出したからだろう。

 テレクラの会社が、出会い系サイトに変わっていったのか、それとも、

「衰退する業種」

 というものと、

「出てきた業種」

 ということで新たな商法として、まったく違った経営者なのかは、分からない。

 とにかく、

「ブームが去る」

 ということは、あっという間のことだということであろう。

 ちょうど、ブームというのは、10年ちょっとということで、

「90年代がテレクラ」

「2000年代が、出会い系サイト」

「2010年代が、お見合いパーティ」

 ということだったのだろう。

 もちろん、結婚相談所というのは、そんなブームに関係なく、相変わらずである。

 それを、人気と見るかはよく分からないが、すたれることなく、営業できているということは、それだけでも、すごいといえるだろう。

 要するに、

「お金の問題ではない」

 ということになるのであろう。

 ただ、

「お見合いパーティ」

 というのは、昔でいう、

「援助交際目的」

 というものとは違っている。

 それだけ、

「怪しい業界が、すたれてきた」

 ということであろうか?

 ただ、その反面、

「ネットを使った詐欺」

 というものは、どんどん増加していて、犯罪も複雑化しているという。

「今までのような出会い系」

 というようなもので、ちまちまやっているよりも、

「一気に詐欺」

 という形の方が儲かるということで、

「鞍替えした」

 ということになるのか?

 時代が変わろうとも、そういう詐欺のような集団は、そう簡単に消えるということはない。

 それを思えば、

「最近の男女交際事情というものが、それまでとは、一気に変わってきているのではあいか?」

 といえるだろう。


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