夜叉さんは遊園地バイト

椿カルア

前編

明るく可愛らしい音楽、人々の声、ここでしか味わえない夢のような感覚。

俺、御守灯矢みもりとうやは現在遊園地に来ている。


周りの客は観覧車やメリーゴーランド、ジェットコースターといったもので遊ぶのに夢中のようだが、しかしながら今回俺はそれらを目的にこの遊園地、四季の館に来たのではない。

今回の目的、というかいつもの遊園地に行く目的はだいたいこれである。

お化け屋敷。

わざわざ危険な場所に赴かなくても恐怖体験ができる絶好の代物。

俺はそんなお化け屋敷の(隠れ)オタクである。

ちなみにこの四季の館にはよくお世話になっているので年パス会員である。


というわけで、まるで人様に説明するが如く、自分に今回のお化け屋敷について歩きながら語ろうと思う。

頭と心で一人語ろうと思う。


四季の館のお化け屋敷は三ヶ月に一回、コンセプトが変わる。

六ヶ月前は廃病院を、三ヶ月前は貞子モチーフ、そして今回は骨をコンセプトにしたお化け屋敷だそうだ。ちなみにいつものことなのだが公式から詳しい情報は出ない、コンセプトしか出ない。


……と、まぁそうこう考えているうちに無事目的地に到着した。

現在時刻午後四時三十分、閉園時間も近く日も暮れ始めて来たのでお化け屋敷の入場口には俺以外に人はいなかった。


外観も骨をモチーフにしている。細かい、ものすごい凝っている。

生徒会の会長が誘ってきたボーリング大会に行かなくてよかったとつくづく思う。


俺が外観を眺めていると、スタッフがどこからともなく出てきた。


「お客様、こちらのお化け屋敷に入場されますか?」

「はい、そうっす」

「では入場前に、今回のお化け屋敷のルールを説明いたしますね」


そう言ってスタッフはこほん、と一つ咳払いをしてから説明を始めた。


「今回、お客様はこの骸骨屋敷の主が持つかんざしを取ってきてもらいたいのです。ただし、一つだけ注意を。屋敷の主は貴方様を外敵とみなし追い出そうとしてきます。その際は屋敷内の骸骨に見つからないようくれぐれもお気をつけください。骸骨に見つかると主が目を覚ましてしまいます」


そう説明を受け、俺は深呼吸をして心の準備をした。


「……わかりました。無事に簪を取ってくればいいんですね」

「はい。ではご準備できましたら行ってらっしゃいませ」


スタッフに送り出され、俺は屋敷に入っていった。












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