【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
第一章 真珠湾占領
第1話 迫りくる戦争
「やはり避けられないか...」
東条は今すぐにでも逃げたい気持ちを抑え、深呼吸をした。
「今まで戦争回避のため、頑張ってきたが、もうダメか...」
日々日々深まる日米の対立。迫りくる戦争を回避しようと,今まで頭を絞って工夫してきたものの軍部の暴走を止めることが出来ず、戦争は、日に日に迫るだけであった。
「ですね...」
山本が呟く。
山本五十六は、大日本帝国海軍連合艦隊司令長官だ。戦争には東条同様大反対だったが、日々日々深める日米対立に戦争は間近だと諦め始めていた。
「しかたがないです。例の作戦を計画します.......」
山本は腹をくくった。
「だめだ!あの作戦は、空母がいない可能性がある!それに水深12mと浅んだぞ!もし、ドッグなどを破壊できなければ、艦が戦線に戻ってくる可能性がある!それにこれは私だけはなく、天皇陛下のご意向でもあるのです!」
「しかし、このままだとアメリカに先手を打たれます!そうなると島国で、資源もない我が国は多大な被害を出すことになるでしょう。それに、アメリカは『ハルノート』を出してきます!戦わないということは、これを飲むということ。そうなると我が国はどうなるかあなたなら、わかりますよね?東条さん!」
「....だけど!」
「まだそんなことをいうつもりですか!これが日本を守る方法なのです!それに全戦力をもって空母部隊を叩けば、短期決戦で勝利できます。だからお願いします、東条さん!」
「....分かった。陛下に進言する。しかし、条件がある」
「なんですか?」
山本が聞くと、
「必ず、平和をつかみ取ってこい...」
東条が聞こえないような声で言った。
「了解です!」
山本は力強く返事をすると、すぐさま源田実を始めとする高官たちを集めた。
「例の作戦の許可が出た。源田君、説明を」
山本が源田に指示を出すと、すぐさま
「了解です。まず、真珠湾攻撃に、空母『赤城』・『加賀』・『飛龍』・『蒼龍』・『翔鶴』・『瑞鶴』、新型装甲空母『鳳炎』・『鳳水』の計八隻の空母と戦艦『比叡』・『霧島』の高速戦艦を主軸とする艦隊での攻撃です。ちなみに司令官はそこの高山さんが務めます。私は鳳炎の航空参謀長を担います」
そう淡々と源田がしゃべると、そこに座っていた聯合艦隊参謀 宇垣 纒が、疑問詞で
「空母八隻もいらないのでは?」
と聞いた。すると、
「もし、空母がいなければ、他の空母艦載機で叩きます。他にもドッグなどの破壊も込めてですね」
その場にいた全員が納得した顔をしていた。
そして数分後。
「これで、以上になります。何か質問は」
皆が真剣な顔をしていた。
こうして、太平洋戦争は幕を上げようとしていたのであった.....
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