緑空の1億ヘルツ

たくや

プロローグ

 荒れ果てた海に、1艘の木造船が漂っていた。

帆は、もう風を通すほどになっている。今にもひっくり返りそうなくらい揺れている。そこいらじゅうで雷が轟いていて、その木造船に落ちてもおかしくはないくらいだった。

そんな船の上では壮絶な戦いが繰り広げられていた。

「帆を縫い直して来い!」

「無茶ですよ!船長!」

舵をとっている船長の隣で、針と糸と一枚の布切れを持った男が言う。

「じゃぁ死んでもいいってのか⁉」

「いや、だめですけど!死にたくなかったらこんな冒険計画しなかったらよかったんじゃないですか⁉」

「危険な目にあってからこそが冒険なんだよ!」

「あぁ!もうわかりました!行って来ますよ!」

「おう、頼んだぞ。」

「あいあいさ~」

男は力弱くそう言い放ち、帆柱をよじ登った。

そして、帆に空いている穴に足をかけ、端から縫い始めた。しかし、その時だった。もともと腐っていた木製の帆柱を登ったせいか、それは根元からバキバキバキと音を立て、ゆっくりと横に倒れた。さらに、その勢いのまま、船が横転し始めた。甲板で作業していた者たちは、そのまま海に落ちていった。船長は舵につかまって耐えていた。ただ、船は逆さになり、そのまま沈没していった。

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