日は仇討より強し
「もういい、遊びはここまでだ!」
死神はそう言うと、全身から魔力を使った衝撃波を放ち、斬り掛かっていたルイを弾き飛ばす。
間髪を入れずその場から避難し、三人から少し離れた場所に着地する。そしてそのまま、両手を振りかざしてさらなる亡者たちを呼んだ。
その隙をつこうとルイが彼に向かって飛びかかるが、ルイに天井から這い出てきた“ゾンビ”が飛びつき、そのまま彼を地面に叩きつける。
カールとエミーはすでに大量の“スケルトン”たちに囲まれていた。いちいち動けなくなるまで全体を砕く必要がある“スケルトン”に苦戦している。
その間になにかの準備を整えた死神の後ろに、二体の亡者が現れた。
一人は獣の姿をした人。身体の中心を通る縦の線のように縫い目があった。そこから真っ二つにされたかのようであった。
もう一人は褐色肌の少女。耳が長い。彼女は頭部に大きな窪みがあった。どこまで続くかわからない、深く薄い穴。
「貴様らに殺された我が友と我が弟子の力、思い知るがいい!」
「……こんな時どういう反応すればいいのかわかんねーけどとりあえずあのエルフ野郎名前は結局のところなんなんだ?」
「そんなこと言ってる場合ですか……って、きゃあ!?」
無駄な会話を交わしている間に褐色肌の少女の展開していた『
「やってくれやがったな、あの野郎!エミー!そっち任したぞ!」
「う、うん!」
雄叫びを挙げてカールが褐色肌の少女に向かって突っ込んでいった。
それを無表情のまま見ていた褐色肌の少女は『
「そう来ることぐらい予想ついてんだよ!くらいやがれ!『十字火炎斬』!」
カールが斧を十字形に振る。斧頭から出た火が十字形になり、そのまま彼女に向かって突っ込んだ。
この結界は物理的な斬撃こそ防げるが、魔法の炎は防げない。十字型の炎が彼女に直撃し、そのまま彼女は燃え上がった。
「よっしゃあ!ざまぁみやがれ!」
「カール!後ろ!」
「え?」
カールの後ろにあったのは、今にも襲いかからんとしている巨大な獣であった。どうやらエミーが取り逃がしたらしい。
「嘘ぉ!?」
不意の
「カール!これ使え!」
カールの足元にダイヤモンドの剣が突き刺さる。持ち主は両手に魔法を展開し、再び死神に向き直る。
「さっさと返せよ!こっちもやばいんだから!」
「おう、助かった!これで切り刻んでやるぜ!」
そう言うなり突き出された腕をカールはあっさりと切り落とす。巨大な獣が悲鳴をあげた。
「『
エミーの放った炎が彼の頭部にまとわりつく!そのまま頭だけが灰すらも残らないほど焼かれてしまい、その大きな体は動かなくなった。
残った巨体が、ルイと死神のいる方へ倒れ込む。
「ルイ!返す!」
「サンキュー!」
カールから投げ返された剣を使ってルイは巨体にすばやく穴を開け、そこから脱出する。残った死神は、凄まじい質量の下敷きになった。
「よし!やったか!」
「……この我を、なめるなぁ!」
死神が怒号と共に彼を押しつぶしたはずの巨体を持ち上げ、彼らに向かって放り投げる。
「まだまだ足りんぞ!貴様らの罪は消えてないぞ!」
そう言うと地面に手をあてる死神。
途端に、周辺から凄まじい量の亡者が湧き出た。数百、数千、数万……この広い地下空間の床を埋め尽くさんばかりに湧き出てなお増え続けていた。
流石にこれには三人の対処も追いつかず、岩場にいくつかある尖った岩の先端に追い詰められる。
「マジかよ!?どんだけ出てくるんだ!?」
「……そんなに出てくるなら、この洞窟ごと吹き飛ばせばいい話だ。『
突然不自然なくらいに冷静になったルイは、冷たくそう言い放つと、自分たち三人の居場所と、空中の一区画を結界で区切った。大きさとしては大体直径が2メートルぐらいの球体型。
次の瞬間、空中の結界が急激に縮み始めた。内部の圧力なんてものともせず、少しずつ少しずつ、小さくなっている。死神がこの謎の行動に驚いている間に、もうビー玉くらいのサイズにまで縮んてしまっている。
「何をする気だ!?」
「死神君、太陽が光を放つ原理を知っているかな?」
「何だと?」
そうこうしている内にも空中の結界は縮み続け、更には光り始めた。何なら結界自体は小さすぎて確認できず、光でおおよその位置を推測しているだけと言えよう。
「『核融合』さ。今この結界の中身の圧力は太陽核の中心点と同じ2.4京
次の瞬間、内側のあまりにも強大すぎる圧力と熱に耐えきれず、結界が破かれる。
まばゆい光とともに、洞窟が消し飛んだ。
もともと洞窟のあった大きな穴の中心を、三人は歩いていた。
死神は洞窟とともに消し飛んだようだ。法衣の一部と、砕けた鎌の残骸が地面に散乱している。ルイはその布を拾い上げると、マントのように仕立て上げ、羽織っていってしまった。
かくして、地形をまるごと変えてしまうほどの激戦は、三人の勝利で幕を閉じた。
「……で?どこだよここ。」
とうとう洞窟から脱出した三人を待っていたのは、レンガでできた巨大な建物であった。
*
今日の戦利品
(なお、一部で時系列が狂っていることについてはご容赦を。)
不死鳥のマント(死神を倒した時に入手) 防御力:80 伝説の不死鳥の羽毛で作ったらしい法衣の一部。魔力を込めると飛べたりもする。→ルイが装備
錆びた武器×43(戦闘時に入手) 攻撃力:7 亡者たちから取り上げた武器たち ほぼ使い物にならない上後数回使えば壊れそうだ。→ルイのポーチへ
黄金の斧(カールが隠し部屋で入手) 攻撃力:85 かつてどこぞの女神様が作った斧に魔法をかけた武器。攻撃力と重さがバカみたいにあがった。→カールが装備
Louis Karl Amy
Lv 31 15 15
Kills 1749(+879) 1206(+821) 1250(+799)
EXP 73429(+43378) 12086(+8586) 11763(+7816)
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