第4話「リスクの深淵」



「帝王投資の後継者?そんな甘い話、信じるの?」


高級マンションの最上階。リスクの賢者・御堂凛子が、ウイスキーを揺らしながら問いかける。


「5億の利益。でも、それは罠かもしれない」


水槽の中の熱帯魚が、優雅に泳いでいる。裕也は今や7億の資産を持つ投資家。だが—。


「黒崎兄弟は、10年前にも同じ手を使った」


御堂が古い新聞記事を広げる。


『新進投資家、謎の失踪。帝王投資との取引で巨額損失か』


「彼らは若い投資家を後継者と持ち上げ、最後は全てを奪う。まるで...」


御堂は水槽の前で立ち止まる。


「この熱帯魚のように。華やかな色彩で誘い、そして—」


その時、裕也のスマートフォンが鳴る。帝王投資からのメッセージ。


『明日午前10時、臨時株主総会。後継者指名式を行う』


```

[危険察知]

「直感Lv.1」を獲得

迫り来る脅威を

本能的に感じ取れるようになった

```




帝王投資本社。最上階の会議室。


「本日の臨時株主総会を始めます」


黒崎英雄が議長席に座る。会議室には50人ほどの株主。裕也は来賓席で、背筋を正していた。


「では、第一号議案。新役員人事について」


英雄がゆっくりと書類を開く。その時—


「異議あり」


ドアが開き、一人の男が入ってきた。灰色のスーツに身を包んだ初老の男性。


「私は帝王投資の筆頭株主、鬼頭である」


会場がざわめく。


「筆頭株主?」裕也は御堂から聞いた言葉を思い出す。「帝王投資の株式の80%は黒崎兄弟が...」


「いいえ」鬼頭が不敵な笑みを浮かべる。「昨日までは確かにそうだった。しかし今朝、状況は変わった」


スクリーンに映し出されるチャート。帝王投資の株価が急落している。


「我々は、黒崎兄弟の持ち株を全て買い取った」


黒崎英雄の表情が強張る。


「おい、何が起きている」弟の黒崎が叫ぶ。


「簡単な話だ」鬼頭が告げる。「君たちの手法は、よく知っている。若い投資家を後継者に仕立て上げ、その評判で株価を吊り上げ、最後は全てを奪う」


彼は裕也の方を見た。


「今回の彼も、その予定だったんだろう?」


```

[陰謀の真相]

「策略看破Lv.1」を獲得

複雑に絡み合う罠を

解き明かせるようになった

```




「全ては計算通りだ」


鬼頭が会議室の中央に歩み出る。


「黒崎兄弟は10年間で12人の投資家を食い物にした。その度に株価を吊り上げ、莫大な利益を得てきた」


スクリーンに次々と証拠の数字が映し出される。


「今回は違う」鬼頭は裕也を指さす。「彼には本物の才能がある。それを見抜いていたからこそ、我々は動いた」


黒崎英雄が立ち上がる。「我々?」


「ご正解」


会議室の扉が再び開く。そこには—リスクの賢者・御堂凛子の姿があった。


「私が、鬼頭投資グループのオーナーです」


裕也の目が見開く。御堂の真の姿。水槽の中の熱帯魚のように、美しく、そして危険な存在—。


「山田裕也」御堂が静かに告げる。「私たちは、あなたに全てを委ねたい」


「全て?」


「帝王投資も、鬼頭グループも。そして—」


その時、モニターが緊急ニュースを映し出す。株式市場が大きく揺れている。


```

[深淵の覚醒]

「闇の支配者Lv.1」を獲得

金融界の深層を

制御できるようになった

```




「日経平均、1000円超の大幅下落!」


会議室のモニターに、赤い数字が踊る。


「ついに始まったか」御堂が静かに微笑む。「世界同時株安。これも、全て計算済みよ」


黒崎兄弟の顔が青ざめる。


「まさか...株価操作だけでなく、市場全体を...」


「ええ」御堂が告げる。「私たちは"市場"そのものを動かす。それが鬼頭グループの真の姿」


裕也のスマートフォンが次々と警告を表示する。保有株全ての急落。7億の資産が、瞬く間に減っていく。


「さあ、選びなさい」御堂が裕也に向き直る。「黒崎兄弟と運命を共にするか。それとも—」


彼女は契約書を差し出した。


「私たちと共に、市場を支配するか」


その時、裕也の脳裏に、これまでの記憶が走る。

柳生との早朝の修行。

森川との情報戦。

速水との命がけの取引。

そして—御堂の"本当の顔"。


```

[運命の分岐点]

「決断力Lv.2」が解放

より深い闇への扉が開かれた

選択により、未来が変わる

```


「面白い」


裕也は立ち上がり、窓際に歩み寄った。東京の街が、夕暮れに染まっている。


「でも、私には—」


彼は御堂を見つめ返した。瞳に、これまでにない強さが宿っていた。


「私なりの、答えがあります」


(第4章・完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る