第三章 ブルーハワイと終わらない夏
Episode.11 これなんてギャルゲー?
あの事件が起きた学園祭最終日…犯人らしき男の姿は監視カメラには映っておらず、ネットに繋がった車をハッカーが
勿論、納得がいく筈が無いが、次の日の世々良木研究青春祭三日目は休日開催だった事もあり、気分転換に修と半日過ごした後、解散してから家でゴロゴロしていた。
それからは特段、何か起こる事も無く…俺達は平和そのもののな日々を過ごした。
平穏なのは有難いが…特別なイベントすら起きないのは、世々木に来てから割と非日常感が抜けてなかったとはいえ、少しだけ退屈にも感じた。
いや、これが普通なんだよ。寧ろ世々良木に来てから出会いとか色々あり過ぎたんだ。
今の内に平穏な日々に慣れとかないと俺は贅沢人間になってしまう…!
ただ、その間に一つ変わった事があるとすれば、十六夜さんがクラスに馴染んできた。
学園祭の準備や学園祭で十六夜さんが頑張ってた事は皆んな知ってるし、クラスでの彼女の悪いイメージはどうやら払拭された様だ…
そんなこんなで四週間、あっという間に世々良木に来て初めての夏休みがやって来た。
まあ所詮、夏休みになろうと俺はいつも通りクーラーの効いた部屋でゴロゴロとゲームでもしながら過ごす…
その筈だったのだが、何故か俺は自分の家とは真反対にあるプールリゾートへとやって来ていた。
「どうしてこうなった…」
きっかけは朝から目覚まし代わりに掛かって来た聖咲からの電話だった。朝っぱらからデカい声で「センパーイ!プール行きましょ!」とラブコール…まあ可愛い後輩の誘いだと考えたら腹も…た、立たない。
今までは学校で仲の良い友達(?)は居たけど夏休みに遊びに行く奴なんて居なかったからワクワクもした。
…だから割と張りっきた格好で待ち合わせの
「センパーイ!遅いですよ!」
「悪い、でも…時間通りだよなぁ…?」
「後輩、どうした?何か元気ないよだけど…」
「もしかして、私と二人っきりで出掛けるの楽しみ過ぎて、眠れぬ夜を過ごしちゃいました〜?」
「分かるよ!あーしも皆んなで出かけるの楽しみ過ぎて、ぜんぜっん!寝れなかったから!」
いざ待ち合わせ場所に向かうと聖咲だけじゃなく、不忍先輩に十六夜さん、ウッキウキの日向さん…略してウキナタさんの
どうやら最近出来たプールリゾートの無料券を父親から貰った聖咲が俺達をお礼代わりに誘ったらしい。いや、日向さん寝てないのに元気過ぎる…
しかし、聖咲のお父さんは5人分の無料チケットをどうやって手に入れたのやら…
というか聖咲の奴、他の皆んなには事前に連絡してやがったな?俺が水着持って無かったらどうするつもりだったんだ…
「先輩、サプライズハーレムですよ♡」
何だ…デートじゃないのか…──じゃない!…いつから俺はそんなに贅沢な人間になったんだ!…
こんな美少女達とのプールイベントだぞ!?…水着だぞ!?もっと喜べ!…せめて今を楽しむ事を考えよう。
「…──水着最高ォ!」
「うわぁ!?望、急にデカい声出すなよな!」
あっ、やべ…声に出てた。十六夜さんを驚かせてしまったし、何とか誤魔化さないと…このままだと、俺がまるで皆んなの水着姿を想像して浮かれてる変態…修と同じ扱いをされてしまう!
「あ〜…と俺、水着久々に着るから最高にテンション上がるなぁ…みたいな?」
「先輩は私達の水着で興奮していたんですねぇ…やらし〜…」
「違っ…待て待て、その言い方だと語弊があるぞ!」
「後輩、私はお姉さんだから分かるよ…男の子は女子の水着に心が踊るもんなんだよな」
「そう!それだ!…これは至って普通の事なんだ!健全な
ごめん、全思春期男子。…というか必死過ぎてキモいよな今の俺…すげぇ見苦しい。
無様な俺を見て聖咲がニヤニヤと笑っている…あの生意気シス後輩、絶対にプールに沈めてやる。
「なあ、それより望が変態なのはもう知ってるし、時間ある内にコンビニにアイス買いに行こうぜ」
「先輩、全国報道されてますからね〜」
「ちょっ!?…何処の報道局からそんな
取り敢えず、皆んなでコンビニに行ってアイスを買って、それを食べて
そして俺達が
…なんかあれだな、イメージ的に遊園地のプール版みたいな感じだな。アトラクションプールって言うんだっけ…
小学生、中学2年くらいまでなら良いんだろうが、高校生の俺みたいなインドア人だと、海とかプールって泳いで何が楽しいのか分からなくなるんだよなぁ…
「取り敢えず、皆さん着替えて集合で!」
…という聖咲の言葉で俺は男子更衣室へ。着替えたら先程まで俺達が居た入口付近に集合予定だ。
ちなみに世々良木は年中暑い上に浜辺が無い。だから基本的に夏は海じゃなくてプールになるのが世々良木流らしい。
取り敢えず、更衣室で水着を着て外に出る…一応、夏休み明けからプール授業が始まるらしいので水着を買っておいて良かった。
それより、やっぱり男の子なら女子の水着姿見たいよな?…俺はそのまま少しワクワクしながら集合場所へと向かった。
「センパーイ!…」
暫く待って、その声に振り返ると水着姿の聖咲が…えっ、俺だけこんな思いして良いの!?
「あれ〜?私の水着姿に見惚れちゃいましたぁ?」
聖咲の水着は定番かは知らないが水色の三角ビキニで、聖咲って割とスタイル良いんだな…何がというか、思っていたよりある。えっ?…俺、死ぬの?
「えっ、マジで何で黙ってるんですか!?もしもーし?熱中症で気を失ってませんか?ちょ、可愛い後輩の水着姿ですよ!」
暑さではなく、あまりの衝撃に意識が飛びそうになっている所に更なる
日向さんとその手に引かれた十六夜さん…ま、マズいぞ!状況的には美味しい筈なのに!
「ど、どうかな?…望くん」
明らかに緊張してるのがバレバレな日向さんが可愛い。
日向さんの水着は白のホルターネックタイプのビキニ…スタイルが良いのは知ってたけど、これはヤバい…さっきから俺の脳内がキモいよ!浮かれ過ぎ!
そして十六夜さんは、胸元にカーテンの様に掛かった布生地が目立つ黒のフレアトップビキニ…確かにこれならひんぬ…胸の控えめな十六夜さんにも似合う。
…ん?いやでも、十六夜さんって別の箇所が意外に…あ、いや普通に似合ってるし、何か可憐さが2倍で可愛いんだけど…てか何で俺、こんなに水着に詳しいの!?
「二人共、似合ってるよ…」
「あ、ありがとう…」
「…何か今、腹立つ事を考えられた様な気がしたぞ?」
「ちょっと先輩!私の水着は!?」
「はいはい、似合ってる」
「ちょ!?…雑過ぎません!?」
するとすぐ後に、ゆっくりと顔を覗かせて不忍先輩が出てくる。いや、先輩のスタイルなら大抵の水着は似合うと思うけど…
「いやぁ、後輩!先輩の水着姿はどうだぁ?…ハハハ」
不忍先輩は顔が赤いし無理してそうだったが…先輩の水着はノンワイヤータイプの赤いビキニで…あの先輩の水着が見れるなんて何か感動する。
「最高です!」
「何で食い気味なんだよ!?」
「先輩の、不忍先輩と私での反応の差が気になりますね?」
「…というか、後輩ってこんなキャラだったか?」
確かに普段の俺より、遥かに浮かれているのは間違いない…
青春祭とか言う頭悪そうな名前の祭りでも浮かれていたが、あの事件で水を差されて、暫くはいつも通りの日常からの
「さぁ、皆んな!何処から行く?」
「先輩なんかウザいです」
「はいはい!私、水の滑り台行きたい!」
「じゃあ先ずはそこから行くか!」
それから俺達は日向さんのリクエストにあった水の滑り台に行ったり、聖咲が乗りたがってたビショ濡れになるジェットコースターで絶叫したり…
「ちょっ、先輩、放心状態じゃないですかぁ!アハハ!」
「望くん、大丈夫?…愛梨師匠も大変だけど…」
「師匠、大丈夫か?…」
「だから…アタシ、嫌だって言ったのに…うぅ」
「不忍先輩もですか…先輩方、絶叫系耐性無さ過ぎですね〜」
ジェットコースターで悲鳴すら上げなかったのに、口を開けたまま放心状態になってるのを聖咲から煽られたのは癪だが…(取り敢えず近くのプールに適当に沈めた。)
失礼だけど、レアな弱気で涙目の不忍先輩が見られたのが少し嬉しかったりもした。
プールで貸し出されてた水鉄砲を撃ち合ったり、ビーチボールならぬプールボールでチーム戦したり、お店で海の家ぽっい料理を食べたり、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
「いや、これなんてギャルゲー?…」
普通に考えてこんな展開が現実で有り得るのか?…こっから選択肢次第でルート分岐とかあんのかなぁ…なんてバカの事を考えるは辞めよう、これは現実なんだ…
「…なんといか、プールリゾートって言うだけあって飯食べたり買い物できるエリアとか、アトラクションとかも遊園地みたいに沢山あるんだなぁ…」
現在は皆んな別行動をしている…十六夜さんの手を引き、何処かに行ってしまった日向さん、聖咲と不忍先輩はベンチで休憩…
俺は一人で流れるプールで漂いながら、意外にプールも悪くないな…と思っていると見知った顔を見掛ける。
「あれ?…修か?」
「おっ、望じゃん!何プールで一人流れてんだよ」
「お前こそ一人でプールかよ…てか俺は…」と言おうとして気付いた。
もし、俺がクラスの女子2人や、シスター系後輩女子、サイキック先輩女子みたいな美少女メンツと嬉し恥ずかしハーレムしてるとバレたら…間違えなく殺される。ついでにクラスの男子全員が敵になる。
「いや、俺は従姉妹と来てんだよ…どっか行っちまったけど…」
「へぇー…じゃあ、楽しんでな!俺はこれで…」
「ちょっと待て望、お前さ、何か隠してないか?…てか、そのまま流れて何処に行く?…」
「多分、一周回って帰って来るだけどだと思うよ」
「まさか、お前…女子と!?」
「違っ…くないけど妹とだよ!」
昔、母から言われた事がある。『嘘だけは絶対に吐くな…嘘はいつか必ずバレる。バレた時に困るのは自分だ』…その言葉を俺はその時に思い出した。
「げっ、お兄ちゃんじゃん…何で居るん?」
Episode.11《END》
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