イバラの蔦
@mokone471
ある雨の日に
青い空の下・・・・
怒ったみたいに聞こえるホーン・・・・
アスファルトに流れる喧騒・・・
ひとりの生活にも慣れてきたこの頃・・・・?
通いなれた道歩く・・・・
取りあえず専門学校の生徒・・・。
それが僕に出来るいつもの仕事・・・・
成績それほど優秀じゃなかったから・・・・(-_-;)
アルバイトをしながらタダ何と無く形だけの学生生活を送っているだけ。
まともに勉強をすればよかったって悩んじゃってる毎日・・・辛い。
見た感じ就活サン達が目の前横切ってくのを見て・・・
何だか置いてかれたような気分・・・
リクルート着て見たい心境・・・・それも大変なのか?
塞ぎこむ心境・・・穴に落ちて上見上げてる自分って・・・シャレなんないし。
今だけが救いかもね・・・・
過ぎてく日々見送るまいにち・・・・ほんとどうしよかな。
悲観的かも・・・少しどん底に慣れないと(゜-゜)
バイトしてる気力あればまだまだいいほう・・・篭るよりはましだし・・・
いつもの悩み抱えて歩く道・・・・視線気にして嫌になる自分・・・・はらたつ。
土曜日のありふれた午後・・・・賑やかな通りを外れて少し静かな通りへ。
喧騒から離れてなんだか不意に目が覚める気分・・・・・
塀の向こうの翠・・・風に揺れる・・・
悩みを少しだけ忘れさせてくれる風景・・・・
コレが無かったら暴走してるかもね・・・^_^;
モウすぐ見えてくるはず・・・・?
通いなれた落ち着くおしゃれな茶店・・・・・・・・
個人のお店にしては大きめの印象・・・・
蔦の絡まる喫茶店・・・・なんか浮いた存在かも?
カラカラとドアベルが鳴る・・・・・ラウンジの良い香り・・・・
此処に来ると何だか楽になれる、癒されるし。
見慣れたマスターの髭顔がカウンターに・・・・カップを磨いてた・・・・
「おお・・今日は早いな・・・・」
「いつもの時間すよ・・・・」
にっこり笑って話す僕の目は掛け時計の文字盤へ・・・1時過ぎ・・・・
学校が近いので今のところ遅刻はしてないし・・・・
此処が終わればアパートまで数分の所だから問題なし・・・・
・・・・そんな毎日が続いていたんだ・・・・
雨降る夕方。
春夏境目の憂鬱・・・・
その日も喫茶店のカウンターでぼんやりと外を見ていた・・・・。
カナリ雨量が多い感じの外・・・・・
こんな日にお客様なんて来るはずも無い・・・・・。
閉店時間まで後2時間程・・・・。
マスターは買い物に出かけてしまったけど・・・?
メニューは限定されてしまっているので何も困ることは無い。
店内はそこそこ広い・・・・
1人だけだから立て込んでくると不安・・・・
まあ別に・・・
お客が来店されたら大体のやり方は心得ているのでとりあえず
心配もないし・・・・・。
外の雨は激しくなってきたよ・・・・
今日の夜から荒れ模様の天気になるということはテレビで知っている。
帰りはどこかで夕食を買わないと・・・・・。
一人暮らしの質素で素朴な仕事・・・・・。
それも慣れたけど・・・・
ぼんやり出入り口へ視線を移しても誰も来る気配は無い。
こうして待っているときが一番疲れるし眠くなる・・・・・・。
(アー・・眠いし・・・)
最近連れと遅くまで話し込んじゃってるからなぁ・・・・・
卒業作品そろそろ考えて書類提出しないといけないしさ・・・・
あーどうしようかなぁ~ァ(-_-;)
マジに考えると眠くなってくる・・・・ストレス溜まってる感じ・・・・?
カウンターに頬杖を着きたくなる衝動をこらえながら従業員用の
コーヒーポットに手を伸ばした。
出がらしのコーヒーだから不味いことは知ってる・・・
でもコレがいつの間にか眠気を吹き飛ばす薬代わりになっていた。
苦い味にも慣れて、何だか大人になった気分。
タバコはまだ吸ったこと無い。
冷めたコーヒーをカップに入れる・・砂糖を入れた・・
ドアが開かれる音・・・
目を向けると褐色のレインコートを着た人が・・・・
「あっ・・・。いらっしゃいませ。」
お客様レインコートを大儀そうに脱いで壁に取り付けられたフックに引っ掛ける。
そうしてから改めてお客様はこちらを向き直った。
年は30代前半で・・・?大人の女・・・・・
僕の身長よりも長身・・・・目は丸めがちで切れ長の眉毛。
brandワンピース下のバランスの整った体躯に知性を隠す都会の女性・・・かな?
「キリマンジャロあるかしら・・・・?。」
そう言ってカウンターに近づいてくる
「あ・・・・御座いますよ・・・・・。しばらくお待ちください。」
僕がそう言うと窓辺の席に座り込んだ。
数分後コーヒーを入れたカップ。
小さなパウンドケーキを窓辺の女性の前に置いた・・・・・。
半時間後お客様は席を立った・・・・・・。
「美味しいコーヒーだったわ。」
微笑・・・・惹かれてる自分気づいて。
代金を支払い呆気なく帰ってしまう。
近所の人じゃない・・・・・・^_^;初めて見る顔だし・・・・。
たまたま通りかかって茶店に入っただけかな?。
そう思っていたとき、いきなり雷が鳴り響いた。
雨の日は誰でも早く帰りたいと思うもの・・・・。
カップをさげようとテーブルに近づいたとき何かが光って見えた。
近づいて見てみると・・・・・指輪だった。
高価そうな黒い花をあしらったもの・・・・。
薔薇の形をしている。
ブランド物かなひょっとして?。
ブルガリかも・・・・。
・・・・照明の光の加減だか何だか知らないけど指輪が・・・・?
困っちゃったな・・・・・?忘れ物かよ・・・・。
内心交番に届けようかなー・・・と、考えていたところにマスターが帰ってきた。
「いゃーひどい雨だったなー・・・・。さっきの光見たか・・・・・(・_・;)?」
苦笑いしながらマスターはカウンターに入り込むと買い物を置いた。
指輪を手に取るとマスターの元に向かう。
「あのぅ・・・。お客様の忘れ物なんですけども。」
黒い指輪をマスターに差し出して見せた。
「うぅん・・・ふむ・・・・こりゃ高そうな指輪だな・・・。
どんなお客さんだったか覚えてるか?。」
マスター目を細めて指輪を興味深げに覗きこんでる・・・
「女性の方でしたけど・・・・。髪は長くって背は自分よりも高かったですよ。
それから茶色のレインコートを着てました・・・・。」
「そうか・・・・じゃあ取りあえずは家で預かっておいて見るか。
それで取りに来なかったら警察か交番だな。しかしレアな指輪だなほんとに」
マスターは真顔でそう答えると、指輪をしげしげと見た後小さな布袋に入れて
店の金庫の中にしまいこんでしまった・・・
・・・何だかいやに金庫の閉まる音が重々しく聞こえたのは気のせい・・・?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます