第34話:増える経験人数
「おっ……おええええ……」
これも通過儀式だ。あと何度か繰り返せば、人間の死に慣れて敵対者を殺しても何も感じなくなるだろう。いちいち人間を殺したとしても、感情が邪魔をしてくると次の動作に不備が出る。俺からすれば人間も魔物も4足動物みたいなイメージだから、どっちを殺したとしても何も感じなくなると思うんだがなぁ。
エリィが吐き終わったら次の人間を用意して、もう一度殺させるとして……俺はさっきから叫んでてうるさいコイツをどうにかするかな。
さっきまでエリィに悪態をついていたディグドが今度は俺に暴言を吐き続けている。
「クソ野郎!」とか「悪魔!」とか「魔王!」とか、こんな聖人君子を前にして何を言っているんだ?
まぁ目の前で仲間が殺されてもまだ精神が折れていないとは、なかなか骨のあるやつだ。そもそも仲間とも思っていない可能性が高いけどな。
精神が図太いなら、この魔法を使っても死にはしないだろう。
「さて、盗賊ならお宝でもアジトに隠してあるのかな? 教えてもらおうか」
「はっ! 誰がテメェなんかに!」
「あぁ、気にしないでくれ。君の口から聞こうとは思ってないから」
「……は?」
俺がニコっと笑うと、ディグドの顔から一瞬で血の気が引いたのがわかる。そんなドン引きされるとは少し心外だな。
ディグドの頭の上に手を置いて、脳みそから直接情報を漁る魔法を発動させる。
「
「……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
この魔法の欠点は、直接脳みそを掘るため激痛が伴うところだ。痛すぎて簡単に心が壊れる事もあるが、コイツの精神力ならなんとかなるだろう。そもそも痛みを感じさせずに掘り出すこともできるが、さっきから暴言を吐いてる罪を多少なりとも感じてもらわないとな。
俺の弟子をあれだけ馬鹿にして暴言まで吐いたなら相応の報いを受ける必要がある。だからこいつが気絶するまで止めるつもりもないけどな。
「いつもはどこに隠れている?」
「ギャぁぁぁぁ!!!」
痛みで叫び続けるディグドを余所に、俺はコイツのアジトを特定した。特定したんだが……どうやら財政は火の車だったらしい。
何故そうなっているのかも調べてみると、どうやらこの森の周辺を荒らしていたが騎士団によって毎回追いやられていたそうだ。
なるほどね、この辺りの治安は非常にいいのかも知れない。それにしても、こいつらが賞金首とはなぁ。
それにこの辺は人間至上主義の国によって成り立っているらしい。修行がひと段落ついて外に出るときは、まずは国を出るところから始めるか。さすがにエリィへ不特定多数が悪意を向け攻撃してきたら、俺がその国を滅ぼしたくなってしまう。
その他にも聞いておきたいことがあったので色々と漁っていたら、とうとうディグドが気絶してしまった。
周りを見るとディグドの悲鳴に他の盗賊は完全に意識を失っているし、エリィもドン引きした顔になってる。エリィちゃんよ、その顔をするのはまだ早いぞ?
さて、次のモブを引っ張り出してまたエリィに殺させよう。
「エリィ、次だ」
「……はい」
覚悟を決めた顔をしている。殺さなきゃ殺される世界では一瞬の躊躇が命取りとなるのを俺が一番わかっているからこそ、この修行をさせる意味があるんだ。
ここに関しては妥協する気はないし、今後も継続的に行わせる。もちろんただの殺戮者にはならないように心のケアはしっかりと行うつもりだ。
「力まなくていい。ちゃんと狙って、一撃で仕留められるように」
「……はい」
「人も動物も同じだ。命を奪うことによってそれを背負い、自分の糧にして生きていく。決して無駄なことなんて一つもない」
「……はい!」
2人目の命も狩り終わり、3人目、4人目と一撃で命を奪う。全員綺麗に首を落としており、切り口も素晴らしい。噴き出した綺麗な鮮血が地面を濡らし、後々の処理を考えると少しめんどくさくなる。
ただ、最初に俺に見せてくれたエアカッターを考えると、ここまで成長したかと言う感慨深い気分になった。
最後の1人を殺した時には、エリィも吐かなくなっていた。あとはこれを何度も繰り返して、敵対者への慈悲をなくし、人の死に慣れさせる。
盗賊モブの首から上は氷漬けにして、首から下はすべて一箇所に纏めておく。血は土魔法で埋めて処理は完了だ。
そして今度は自分に向けられた悪意を跳ね返して貰うため、気絶していたディグドを叩き起こす。次にエリィにしてもらうのは対人戦だ。さっきまでのは殺す訓練、ここからは人と対峙して相手を倒す訓練だ。
「くそぉ……化け物どもめ! なんなんだよ!」
「このままならお前は殺す。ただ、こっちの条件を飲めば見逃してやらんでもない」
実際には結局殺すんだけどな。まぁ少しは希望を持ってくれれば動きも変わってくるだろう。
本気を出してもらわないと、エリィの訓練にならない。怪我なんかは俺が回復させるから、あとはやる気だけの問題だ。
俺は土魔法で空いたスペースに直径20mほどのリングを作り上げた。
「エリィとディグドには、この上で戦ってもらう」
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