第14話:魔法発動

 修行を始めてもう半年が経過した。俺は相変わらず死んでは生き返っているし、エリィもひたすら魔力布衣を磨き続けている。

 以前よりもエリィの魔力量は増え続けており、最近では昼からの狩りでも最後まで魔力切れする事なくついてこれるようになった。


 魔力布衣に関しても成長している。以前は足に溜めるまで時間がかかっていたり、自分が思ってる以上に魔力を動かしてしまったりと、細かい制御は苦手としていた。

 だが今では魔力の移動もスムーズになり、完璧とは言えなくても魔力量の調整も出来ている。身体強化を使い続けた肉体も成長を続けており、努力した成果は確実に実りとなっているのだ。


 以前発見したダンジョンは俺がちょくちょく様子を見に行っている。濃い魔素により多くの魔物が徘徊しているのかと思ったが、実際はなんて事のない雑魚の群ればかりだ。

 魔素によって魔獣と化した小動物がメインで、場所によっては虫などもいた。まだ3階層ぐらいまでしか調べてないが、多分初心者に優しいダンジョンなんだろう。

 エリィの修行が順調に進めば、あのダンジョンに潜らせてもいいかもしれない。

 1人で行う修行と、敵を相手する実践では得られる経験も別だからな。


 そういえばアジトもだいぶ進化している。以前は湖に直接そのまま汗を流しに入っていたが、簡易的な風呂を作る事にも成功した。

 湖の一部を改良し、周りの木を切り倒して板にする。それを隙間なく並べてなど、時間はかかったが立派な風呂になった。

 脱衣所も完備しており、湖側はあえて壁を作らずに広げてある。風呂に入るときは俺が魔法を使って湖から水を掬い上げ温度を上げて湯を沸かし、2人とも入り終われば浄化魔法で綺麗にしてから湖に流す。

 綺麗な湖を汚すのはよくないとエリィにも言われてしまったからな。


 さらに木の根の間のアジトも、今では倉庫がわりになっている。その隣に2人で住めるぐらいの家を建築し、そっちに引っ越したのだ。

 家と言っても伐採した木の板を組み合わせた簡易的な四角い家で、中は広めのベットぐらいしかない。

 毎日魔力回路のマッサージは継続しており、その際に使うベットを広くした結果2人とも同じベットに寝る事になったのだ。


 そして雨対策に家の隣に簡易的な屋根も作った。ご飯を食べたり休む時にも使えるように簡単な椅子も作ってあり、外に出かけられないときはそこで修行をしたりなど。

 ここで暮らすのも快適になってきている。


 今日も朝ご飯を食べた後の修行の時間が始まる。いつもとはちょっと違う内容だけどな。


「さてエリィ、今日はとうとう「魔法ですか!?」」


 俺が話終わるよりも前にエリィが被せてきた。魔力布衣をはじめとした魔力操作にも慣れ、保有する魔力量も増えてきているので魔法に着手する時期が来たのだ。

 嬉しそうに目を輝かせるエリィの頭をポンポンと優しく撫でると、俺は咳払いをして口を開いた。


「そうだ、魔法だ。毎日魔法を使うイメージだけはしていろと言ったが、ちゃんと行っていたかな?」

「はい師匠! もうイメージだけなら大魔法使いです!」

「ははは。それはいい」


 イメージは非常に大事だ。確固たるイメージをちゃんと持てれば、魔法はどんな状態であれ発動する事ができる。

 俺はまず見本を見せるところから始めた。


「魔力の流れをよく見ていろ」


 まずは分かりやすく魔法の発動までをゆっくりと行う。体にある魔力を練り込むようにして集めた後に、ゆっくりと腕の方へと移動させていく。その魔力が手へ伝わっていき魔力が手を包み込むようにして滞留する。

 そこまで持ってきてから、俺はイメージしていた魔法名を唱えた。


「ウォーター……ボール」


 無色だった魔力が一気に属性色に染まり、手のひらの上に水が浮かび始める。あえて魔法名をゆっくり発音したのはこの変化を見て欲しいからだ。

 ボールと発言した時には水が球体へと変化しており、そのまま手のひらの上でぷかぷかと浮いた状態になった。


「こ、これが本当の魔法発動……!!」

「そうだ。今の魔力の流れがエリィには見えているはずだ。今度はエリィが得意な風魔法もやってみよう。今度はあっちの木に当てるから、もう一度よく見ておくといい」

「はい! 師匠!」


 俺はさっきと同じように魔力の流れをゆっくりとエリィに見せながら魔法を発動させる。手に溜まった魔力をイメージしてある魔法へと変化させ、さらにそれを遠くの対象に向けて発動させる。


「ウィンドバレット」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る