世界について



わしはまたしても馬車にいた。

あの村の連中はみんな健康体でとくに病気もケガもしてなかったため偽聖女としての力を使うことはなかった。

そしてあの母親の言葉を皆信じなかったため偽聖女大作戦はまだ先のばしになった。

その後一晩の宿をとった後もよりの大きな町に移動している最中であった。



「は~。まだ着かんのかのぅ。わしもう馬車は飽いたわ」

「もう少しだ我慢しろ」

アルクが馬の手綱を取りながら言った。

「そうねぇ。暇だし、この国のことについてお勉強しましょうか」

ふむ国のこととな。

「まず今向かってるのがこの国の流通の要ラウルベルそこから北に行くとトラントの町があるわ西には王都ブリンガム南に行くと港町のアクタール」

「そんなにいっぱい一度に覚えきれないのじゃ」

「そうねぇ。じゃあラウルベルと王都ブリンガムくらいは覚えておくといいわ」

「そもそもこの国はなんという名前なのじゃ?」

「あら、それも知らなかったの?この国はねエムーデン王国よ」

「ふむこの国の宗教と歴史を知りたいのぅ」

「あら、難しいこと聞くのね。いいわ教えてあげる」



セレナによるとこの大陸ではほとんどの国でトルー教という宗教を信仰しておりユウクアウラヌスめが絶対神の地位についておった。

その下に地水風炎の4代女神がいるらしい。わしはというとユウクアウラヌスともに世界を創造した後、人間に知恵を与え享楽に耽り遊び倒した後面倒になって何処か別の世界へ去っていったということになっておった。


(そういえば昔そんなこともあった気がするのぅ)


じゃが問題なのはそのあと、もともと豊穣と規律の神だったユウクアウラヌスは4柱の女神を生み出すと自身は絶対神の地位につきこの世界を管理し始めた。

(奴は規律大好き神じゃからのぅ締め付ければよいというものでも無かろうに)

それが証拠にこの世界は大した発展をすることもなく貧困にあえぐ民も多いという。

地球で言うところの中世に近いようだったが上流階級の人間の生活は近世に近いようだった。貧富の差は激しいようじゃの

知恵と享楽の神としてはこの状況は何とかしたいのぅ。



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