第12話信じる物
自分の部屋に戻りベッドに飛び込んだ顔を埋めると、ベッドから心臓の鼓動が跳ね返ってきてどんどん鼓動が早くなっているのがよくわかる。手紙のことを一度、頭から無くそうとすればするほどさっきより強く頭の中で存在感を放ってくる。
「フゥゥ、とりあえずこれからどうするかだ。フゥゥ、探るんだ克馬をあいつの考えを。」
この手紙は隠そうと誰にもみられない場所に、克馬にバレれば俺は殺されてしまうかもしれない。枕のわたの中に入れるかここなら絶対にばれる心配はない。なぜならこの屋敷の掃除、洗濯、食事の準備は全て俺がこなしているからだ、だからバレる心配は全くない。
枕の横についているチャックをギュイっと開け、綿の中心の部分に手紙を傷つけないようにゆっくりと入れた。
ガチャと玄関が開く音がした、幸い部屋が玄関の近くであったためすぐさま気付くことができた。
だが克馬の顔を思い浮かべるとどんどん鼓動が早くなっていく冷や汗もダラダラと出てきた、口の中には唾が溜まっていき頭の中が真っ白になっていく。口に溜まった唾をごくりと飲み、顔についた汗を近くに置いてあったタオルで拭き取る。
「フゥゥゥーーー、落ち着けまだあいつが、まだあいつが、俺を殺そうとしているなんてわからない。」
もう一度、大きく深呼吸をして鼓動を抑え、冷静な判断ができるようにした。さあ、来い俺がお前が善人か悪人か、判断してやる。
ガチャっと自室のドアノブが傾きスパンとドアが開かれた、そこにはとても満足そうな克馬の顔があった。
「お、おかえり、どうしたんだ、なんか機嫌良さそうだな。」
焦りを気づかれないように、いつも通りに話しかける。克馬は俺の焦りに気づくこともなく、ニコニコしながら近づいてきて隣に腰掛けてくる。
「蒼梧、君に朗報だよ。君にプレゼントしたいものがあるんだ頭こっちに出してみて。」
ひょいひょいと手で招いている。俺は促さられるまま、頭を出してみる。
すると克馬は、俺の額に手を当ててくる。その瞬間、脳に電流が流されたような感覚に陥いる、激しい頭痛と目眩、吐き気で頭がおかしくなりそうだ。
「やっぱり急に2つは負担が大きすぎたかな。」
なにをされたか全くわからなかったのに、2つという言葉を聞いた瞬間なぜか背筋が凍る気分になった。
「はぁ、はぁ、はぁ、2つ?どういうことだ、、俺になにをした。」
弱々いかすれそうな声で、克馬に問うとニッカと笑い方に手を置いてくる。
「僕はね君に異能の力を与えたんだよ、2ついっきに与えた影響でちょっと脳に負荷がかかってしまっているけど、すぐになくなるから。」
その言葉を聞いた瞬間龍二の手紙が頭によぎる。だがまだ判断はできない、もしかしたら俺を強くするためにこの能力を与えたのかもしれない。
「なんで、なんで俺に与えてきたんだ、どんな能力なんだ。」
すると、克馬は片眉を上げ首をかしげながら微笑を浮かべた。
「君のその再生能力を向上させるためだよ。僕の経験上、最初はなんて事のない弱い能力でも適切な能力を組み合わせることによって強力な能力に変わったりするんだ。君に与えた1つ目の能力はハンドガンと弾丸を作り出すの能力、2つ目にナイフを作り出す能力ナイフならなんでも作れるんだ。」
彼の今話した内容を聞いた瞬間、話が一切入ってこなくなった。彼はそのままここ1週間内をしていたか話していたようだが全く入ってこなかった。適当にあいずちをか返し一通り話終わり満足したのか、おやすみと言ってニコニコしながら部屋から出て行った。
自分が信じていたものが一瞬にして消え去った絶望感が胸を締め付ける、あの手紙が真実であることがほぼ確定してしまった。先程まで手紙のことを考えるだけで、気分が悪くなっていたのになぜか今は手紙の事を考えると気持ちが楽になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます