GLITCH

保冷剤

Prolog

"嫌だ、嫌だ嫌だ!!

こんなの知らない、消えてしまう!!"


そう聞こえたのを最後に、

通信はこときれてしまった。


もう居られないだとか、家に返してくれだとか。聞くに堪えないような嗚咽、助けを求める。そんな声がこだまして、もう二度と聞こえることはなかった。


死んだのはもう、見なくても分かりきったことで。


でも、世界はそれを解き明かすために、死者が出たにもかかわらず踏みとどまることはしなかった。


新たに6人の人を世界から集めて、また調査をしようと考えたのだ。そして集められた6人は現場に強制連行させられた……


そう。何ひとつとして、知識のない凡人も紛れた集団。相対して、なんでも出来るような天才もいる。


閑話休題。それに参加したのが、僕こと

「時野 優太」。


僕が得意とするのは文系教科で、まだまだ学生……ピチピチの16歳である。


そして、ゴツゴツとした明らかなる外国籍の人……そして、華奢な容姿をした黒人さんやメガネで明らかに頭の良さそうな人も…


僕、役に立てるかな…とか思いつつ、いつの間にか着いていた。


「そこの、着いたぞ。早く降りてこい」


「あ、はい!」


僕は声をかけられて、初めてそれに気がついた。早いうちに降りて、自分以外の5人を見た。かなり怖い。謎の威圧感があって肩を竦めて縮こまってたら、見た感じアメリカ人っぽそうな人から声をかけられた。


「こんにちは。俺、ハーベル・G・エルメス。よろしく。」


「え、はい。よろしくお願いします」


その人はどうやらハーベルさんと言うらしい。彼は片手を差し出し、僕に握手を求めた。俺よりも一回りほど大きいその手は、僕の手をいとも容易く包み込んだ。


「えっと……他の皆さんは、?」


「はいはーい!自分、イグリス・カルメイラ!オーストラリアから来ました!」


小柄で、元気なその男の子はそう名乗った。なんだか可愛らしくて笑ってしまった。


「僕は時野 優太です。日本から来ました、よろしくお願いします。」


「おう!よろしくな!」


ハーベルさんは真っ白な歯を輝かせ、にっこりと笑って見せた。外交的だな、と感心していると、またある人が声を上げた。


「アタシ、メアル・ナイジェールビアよ!ブラジルから来たの、よろしくね!」


ブラジル国籍の、めちゃくちゃかっこいい凛とした女性がメアルさん。なんかかっこよくて、僕憧れるな……


「あ、えと…!私、ミデリア・ハーメニクスと申します……ガーナから来ました、よろしくお願いします…!」


ちょっと内気そうな子はガーナから来たんだね。めっちゃかわいい。律儀にお辞儀をしてはメアルさんの後ろに引っ込んじゃった。


「……僕はアヴェル・イジュリユンです。適当にお呼びください、スウェーデンから来ました。よろしくお願いします。」


律儀でかつ、背の高いイケメン。メガネの子がこの人だったのか、遠くからだったから分かんなかったけどめっちゃかっこいいわ。


「とりあえずよろしくお願いします、!」


そんな風な事を言って僕らは"禁断の地"に踏み込んだ。

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