ACT.5 報復の代償

「…うおぼぉろろおろろろろrお!!!」


 雷鳴が響く人気の無いとある廃墟の中、俺は一人で何もない床で嘔吐を続けていた。

 喉奥からは自身の血液や消化液と共に、『強化外骨格』の素材であるも吐き出す。


「ゲホッ!!ゲホッ!!!」


 俺から吐き出された黒のヘドロ達は「…Tekeli-liテケリ・リ」と、か細い断末魔あげて次々と絶命してゆく。


 こればかりは何度やっても慣れないな…。

 全身の力が抜け、俺は口元も唾液も拭き取らず仰向けに倒れこむ。心身ともに限界の状態で意識が朦朧とする中、俺はふと誰かの気配を感じる。

 人ならざる、強大かつ尊大な、この『龍劫過街』全てを覆いつくすような高次元の神の影を…。


コツ、コツ、コツ…。


「…満身創痍だな。『骨守 帝人ほねもり ていと』」

「神よ…このような姿勢のまま…ゴホッッ、お許し、下さい」

「…よい。それより『神罰の代行』は順調のようだな。…いや、お前からすれば『悪への報復』か」

「…。」

「とにかく、これが『次の獲物』だ。帝人よ、。…早急に身体を癒し、十分な準備を経たのちに臨むがよい」


 『月の神ナイア』様は、そう仰って俺の額に静かに手を当てる。彼女の手から詳細な情報が魔力の粒子となって俺の脳内に流れ込んだ。


「!!?まさかこれは!!?」

きゃつらは『龍劫過街この街』の守護神こと私、『月の神ナイア』との『古き約定』を反故にした…。この責は『罅骨』と支流を同じとする『骨守』の血を引くお前に贖って貰う事としよう」

「しかしこのような事!!奴らは!『罅骨家』の者は本当に人間なのですか!!?」

「さぁな。私からすればどれも同じようなものさ…なに、お前らに分かりやすく伝えるならといったところか…フフフ」

「…拝領致しました。『代行者』の名において、『月の神ナイアあなた』様に代わり奴らに死の誅罰を…」

「それでよい。心苦しいだろうが精々励むがよい…それと帝人よ」

「…?なにか?」

「お前は自己矛盾の葛藤が大きすぎる。…そのままだと残りの寿命を待たずして無念の内に『外骨格』に喰われるぞ。…夢忘れるな」

「…肝に、いえ『』に刻みます。訓戒感謝致します『月の神ナイア』様」


 コツ、コツ、コツ…。


 ナイア様は私の返事に答えることもなく、再び闇の中に消えた。

 雨漏りが絶えない廃墟の中、俺は神から拝領した情報と自身の過去を、嵐が明け日が昇るまで何度も何度も反芻した。


 『罅骨家』、『骨守』、『古き約定』、『月の神ナイア』、『癌武』、『母さん』…………
























………『幽奈』。

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