ゲロップラー丹羽 蝦夷地解放戦線編 【外伝】エキノコックス53号伝説
海老原・F・タイセイ
その者の性 丹羽
エキノコックス53号は困惑していた。
自らが守護(まも)らんとした家族が、仲間が、愛する人までもが散っていったからである。
53号「アイツだ、丹羽だ、団体だ…。」
寒く、否、熱く身体に打ち付けられる吹雪は彼の心そのものだったのかもしれない。
時は昭和28年。高度経済成長期にさしかかろうとしていた。
それは蝦夷地とて例外では無い。都市開発、森林伐採。。。
狐(かれら)は居場所を奪われたのだ。
エキノコックス53号の先祖はこう語った。
「人間さば、悪か奴でねえだよ。ワテらも、ワテらも人間さの立場なってみけろ?そうしたらば、分かるんだでな。」
この言葉にエキノコックス一族はヒトという生き物を受け入れることにした。
しかし、現実はそうもいかなかったのである。
一族の中では内部派閥がいくつも構成されてゆく。
ヒトを排除しようとする者。別の地に移住を試みる者。
だがその全てが頓挫し、結果エキノコックス一族は内覧の末少数民族(ぜつめつきぐしゅ)となってしまったのである。
彼は今、どれほど重いものを背負っているのだろうか。どれほど逃げたいだろうか。
逃げられない理由が本当にあるのか。
『アイツにあってみなけりゃ分からない。』
彼の脚(きゃく)は丹羽の元へと進む。
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