第26話 結果発表

 「なんでも好きなことひとつ、してあげる」

 うちは奈央のその言葉だけで未だかつてないほどに勉強した。恥ずかしがり屋で物静かな子に、あのような挑発をされたら誰だって乗ってしまうだろう。うちは、そんな単純な脳をフル回転させ、考査までの数日間を駆け抜けた。そして今日はその勉強の成果が明るみになる日、返却日だった。

 「よしっ、じゃあ返すぞ!」

 うちの学校では担任が一気に全科目を配り、不備があった生徒のみ担当の先生に言いに行くシステムをとっている。そのため、一気に結果がわかってしまうのだ。

 「じゃあ次!澁谷!」

 担任がうちの名前を呼ぶ、うちは今までで一番緊張しながら教卓に向かった。うちが担任の前に立つと、担任は笑顔でうちの答案が入った封筒を渡してきた。担任の笑顔に少し期待感を持ち、席につくや否や急いで全ての点数を確認した。

 国語 87 数学 89 英語 96 物理 78 化学 82

 うちは自分の答案に書かれた数字に驚き、すぐさま名前の記入欄を確認した。渡された答案が自分のものであると思えないほど高得点だったからだ。うちが自分の点数に驚いていると、隣の席から奈央が話しかけてきた。

 「麻希、どうだった?成果、出せた?」

 「う、うん!泣 めちゃくちゃ頑張ったら、ほらっ!めっちゃ取れたよぉ泣 奈央ありがとぉ泣」

 「麻希が頑張ったからだよ!一週間の勉強でここまでって、頑張ったんだね。麻希!」

 「うん!めっちゃ頑張った!なんせ、ご褒美があったんでね?笑」

 うちがイタズラっぽくそう言うと、奈央は本当に嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべていた。

 【こんなに喜んでくれるなら、勉強も悪くないな笑】

 「じゃあ、頑張った麻希にご褒美です!何したいでーすかっ?」

 奈央が少し顔を赤ながらも笑顔で聞いてきた。うちは、ご褒美の内容をそこまでちゃんと考えてなかったので、その時一番やりたいなと思ったことを口にした。

 「奈央と1日、家でゆっくりしたい」

 「い、1日って、お泊まりってこと?」

 「うん。いつでもいいから、1日ゆっくり過ごしたい。初めての丸1日デートがお家デートってのが嫌なら、うちは別に他をお願いするよ。うちは、奈央に任せるよ。」

 「い、いいよ!私も、ゆっくり過ごしたい!」

 「ほんと!?嬉しい!」

 「何日にする?」

 「う〜ん。親がどっちもいない日の方がゆっくりできるし、いいよね?」

 「…。えっ?ふ、二人きり?」

 「うん。その方がゆっくりできるでしょ?」

 「あっうん。そ、そうだね」

 「そうだよなぁ〜…。うちの親に仕事の日程聞いてからになるから、日にちは追々決める形でもいい?ほら、もうそろ体育祭だし、忙しくなるじゃん?」

 「あ〜…。そういえば、考査終わってすぐだったね、体育祭。嫌だなぁ…」

 「まあまあ笑 うちのかっこいいとこ、いっぱい見ててよ笑」

 「何それ笑 まあ、そうだね。私も頑張るよ。」

 「うん!一緒にがんばろっ!」

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