アイドルになってた前世の弟を推してたら囲われました
かほのひなこ
最強のアイドルは前世の弟
「おはよう、お姉ちゃん」
耳元から流し込まれる甘ったるいモーニングコール。夢現だった私の意識はその声によって、強制的に覚醒させられる。
目を開けば、至近距離に顔面国宝。アイドル界の王子様、傾国顔、などとファンから呼ばれる顔面がすぐ側にあった。
「とりあえず、離れて」
「なんで?」
「いいから」
そのうちこの顔に殺されるかもしれない。比喩でもなく、ガチで。顔の良さで心臓が止まるかもしれないなんて、心配をしなくちゃいけない生活。でもこれが恵まれたもの、ファンの中でオークションにかけたら億はくだらないということはしっかり理解していた。
彼氏にしたい男性ランキング一位の囁き声が、私の起床の為だけに使われていることへ申し訳なさはもちろんある。
これが恋によって成り立っている関係なら、腹を切って詫びる。しかしそうではない。私と、彼の関係は恋ではなく、親愛によって結びついていた。
私の中にある罪悪感の内容は、全国にファンが星の数ほどいるアイドル様――王地晶真にモーニングコールをさせているという事実、それだけだ。同居に関してはやましいことは無いので、罪悪感を抱きようはなかった。
「お姉ちゃん?」
心配そうに瞳を潤ませる彼の顔を、これ以上曇らせないために笑顔を作った。
「おはよ、晶真」
「……うん。おはよう、お姉ちゃん」
ちなみに彼と私の年の差はちょうど10だ。私――天井琴音は今年で16歳。彼は26歳。現在、私たちに血の繋がりはないという情報を追加すれば、どう考えても事案にしか聞こえない。事実、私が第三者なら、絶対に警察への相談を打診する。
でも晶真が自分よりも年下で、血の繋がりのない私を「姉さん」と呼ぶのには理由がある。作り物めいたとある事実。それは物語ではよくあるが、現実では聞いたこともない妄想の塊のようなもの。
私は今も、現実かを疑うことがある。しかし何度目が覚めても、この世界は崩壊しない現実だった。
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