文学フリマで本を3冊売ってきた

松田 夕記子

2025/1/19

 ~これまでのあらすじ~

 20万円かけて自費出版した私は、著者買取ぶんの残りの本をかき集めて、文学フリマ京都に出店するのであった……。

 


 この日は、前日から憂鬱だった。

 文学フリマ京都に行きたくない。

 なぜならば私には友だちはおらず、どうせ本は売れないだろうからだ。


 まあ仕方がないので、自費出版した本を持っていく。


 イヤだイヤだと思っていたせいか、地下鉄の駅を乗り間違えて大遅刻した。

 なんで京都はこんなに道がわかりにくいんだ。


 それはそれとして文学フリマの開催です。


 一区画がこんな感じになってて、

 ①

 ②

 ③

 ④ 私


 しばらくの間、①の人がどんどん売れて、②~④は一冊も売れないお通夜ムードとなっていた。

 ①の人は友だちが多いのだろうなあ。「○○さ~ん、お久しぶりですー!」的な声が聞こえる。

 逆にいうと、そういう声しか聞こえない。

 

 これは友だちナシ人間の遠吠えなんですがァ……、友だちに買ってもらって「売れたー!」って気になりますかね?

 私はまったく見ず知らずの、私の名前も存在も知りもしないような人に買ってもらいたいのだ。


 ⇒何らかの形で、事前に名前を広めておかねーと、そもそも売れねーよ、というご指摘はもっともでございます。


 ③の人はわざわざ東京から遠征してきたらしい。

 何回も出店していて、ディスプレイも手慣れたものだった。

 本を飾るための段ボール製のひな壇のようなものがあって、それを準備してきていた。めちゃくちゃかさばるだろうに。

 私は「へー。世の中に、そんな製品があるんだなあ」と感心した。


 ③の人は首をかしげて「東京ではみんな立ち止まってくれるのに、京都では素通りだ。地域性かな?」といっていた。


 ――関西人はケチだからじゃないですか?


 これは別に偏見でもなく、東京では「新奇・珍しいものは出せば売れる」という風潮があるが、大阪では「新奇・珍しいものだから買う」という層は少ない。

 かといって値下げすればいいのかというと、そうでもないような……結局、何が決め手なのかはよくわからないですね。


 さてお昼近くになると、ぼつぼつ立ち止まる人が出てきた。

 お目当てのブースを一巡して、ゆっくり眺めていこうか、というムードなのだろうか。


 しかし文学フリマって、知り合いや友だちがいないと、どうにもならないでしょう。

 それかもう、友だちをつくる場として割りきるか。


 名刺がわりに無料で献本しまくれば、たとえ何百冊あったとしてもハケますし、そんな捨て身の作戦もいいんじゃないでしょうか。


 さて、私はおかげさまで完売しました。

 まったく見ず知らずの人に売れましたァー!


 まあ、持っていったのは、ですけどね。

 プラス、見本用の一冊です。


 自費出版で著者買取したぶんの本が、もう残り少なかったんです。

 それでこれ、一冊がかなり重いんです。

 200p以上あって、判型も大き目だから、四~五冊持つだけで限界です。


 宅配搬入というのもあるらしいんですが、四冊では宅配使うほどではないかなあ~、と思いまして。


 とにかく、完売は完売ですよ。

 この時点で14:30です。


 閉場時刻は16:00なので、もし余分に持っていったらあと一冊くらい売れたかもしれませんが……ええい、疲れた。

 もう、おうち帰る! さっさと撤収しよう。


 おっ、作家合同ブースとやらで、滝本竜彦がきてるぞ。

 お坊さんみたいな雰囲気のイケメンだなあ。


 エリーツ

 https://c.bunfree.net/c/kyoto09/!/%E3%81%93/83

 海猫沢めろん 佐藤友哉 滝本竜彦 pha ロベス


 でも今日はしんどすぎるので、もう帰ろう。

 せっかく文学フリマ行ったのに、体力気力の問題があって、ぜんぜん他のブースを見られなかったです。


 本来なら、出店者だけが入場できる時間帯に、みなさんいろいろ回ってるみたいですね……。


・まあ雰囲気は良かったと思う。

・文学フリマは客として行く方が楽しい。

・どうせ店を出すなら東京で出した方がいいかもしれない。

・二回目、出店するかといわれたら、たぶんしない。SNS疲れの比じゃない。売らなければプレッシャーがものすごい。



 近隣のブースの皆さま、大変お世話になりました。

 ありがとうございます。

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