新しい日常、遥香

 アタシはまた記憶を失っていた。


 図書館に行くはずだったのに本も借りて居ない、たしかもう読む本なかったよね。


 仕方ない、今日は音楽を聴いて過ごそう。


 いつものように無料の音楽配信アプリを開いてみる、アレ、尾崎豊……誰だ? アタシこんなの聴いてないのに。


 いつ聴いたんだろ、でもこれ良いかもアイラブユーだって、ふーん愛の歌だ。


 コレ聴いてると何だか切ない気持ちになってくる、誰かに会いたいような、アタシまだ恋だってしたコトないのに、でもうん名曲だわ。




 ヤバイ、遅刻するとこだったわ。


 昨日、夜遅くまで音楽とか聴いちゃったから、朝がなかなか起きれなかった。


 ん、向こうから山上がやって来た、笑顔だ。


 アタシ、いつも間にか笑顔になってる、ウソッ。


 おはよって山上の言葉に、アタシもおはよって返してる、えっ、うそ、なんで?


 コレにビックリしたのはアタシだけではなかった、クラスの全員が皆んなコッチを見て居る。


 わー、待って待って、何かの間違いだ、アタシを見ないでー。


 すかさず、隣の席の関 優子が影山さんどうしちゃったの? て話しかけてきて、アタシもどうもしないわよって返事返してる。


 ありえない、こんなアタシありえない。


 それからが大変だった。


 何人も何人もアタシに話しかけて来て、アタシはそれに全て答えていったの。


 今まで誰とも関わらないと思い、全てをシャットアウトして来たアタシ、空気のようなアタシ。


 皆んなもそう思ってると思ってた、しかし、実は皆んなアタシに関心を持ってたんだ。


 嫌な感情がない、話しかけられても、まだぎこちないけど、アタシ普通に返してる。


 お昼だって、影山さんコッチって誘われて、アタシ皆んなの輪に入ってお弁当たべてる。


 今までバカバカしいと思ってたのに。


 なんだか楽しい。


 それにアタシ喋ってる、自分の方から。


 影山さんがこんなに楽しい人だと思わなかったって言われて、嬉しくなってる自分がいる。


 アタシ変わったんだ、昨日山上に帰りを誘われて、気を失って、それからおかしくなってる。


 あいつアタシになんかしたのかな? でも嫌な気持ちは全然しない。


 今日帰り、山上と一緒に帰ろう、そして聴いてみよう、あいつならきっと何か知っている。


 じゃあね、また明日。


 今日一日で沢山友達が出来てしまった、高校生活がこんなに楽しいものだとは思いもしなかった。


 山上は校門の前で待っていた、今度はキモイとは思わなかった。


 開口一番、アタシは山上に聞いてみた。


 アンタ何したのアタシに。


 でも 山上は笑ってるだけで何も言わない。


 ちょっと何か言ってよ、あっ、まただ頭が痛い。


 意識が薄れていく。


 何だコレは、薄れいく意識のなかで山上のおねいさんと言う声が聞こえてくる。


 おねいさん? 誰……な……の……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る