第7話 リクの小さな一歩
リクが「自分を信じる」ことを学んだ後、彼の日々は少しずつ変わり始めました。まだ完全に自信を持てているわけではありませんでしたが、毎日少しずつ、その力を育てていました。
ある日のこと。リクは王国の広場で、お腹がすいた様子の子供たちを見かけました。小さな子供たちが足元で座り込んで、疲れた顔をしていました。どうやら、長い時間をかけて、村の広場から王宮の方へ歩いてきたようです。
「リク王子、何かお手伝いできることはありませんか?」と、側近のサラが近づいてきました。
リクはその子供たちの姿を見て、心が痛みました。「何か、食べ物を与えることができれば…」とぼんやり考えていましたが、すぐにまた遠慮して言葉を飲み込みました。「でも、僕には、あまりできることがないから…」
その瞬間、魔法のカバンがリクの心の中でささやきました。「忘れないで、リク。君には、他の人を助ける力があるんだよ。君が持っているものを、心を込めて差し出すことができるんだ。」
リクはその言葉に勇気をもらいました。カバンの中を覗くと、すぐに美味しそうなパンが数個現れました。リクはそれを手に取ると、躊躇うことなく子供たちに近づきました。
「どうぞ、食べてください。」リクは、少し照れくさそうに言いました。
子供たちは驚いた表情を浮かべましたが、リクの優しさに感謝しながら、「ありがとう、王子!」と元気よく答えました。
その時、リクは心の中で何かが弾けるような気がしました。今まで「ありがとう」を言うのが恥ずかしくて遠慮していた自分が、素直にその言葉を受け入れ、そして人々に伝えることができた瞬間でした。
「どういたしまして。」リクは自分の言葉が他の人に届くことに少し驚きながら、温かい気持ちで答えました。
その後、子供たちは元気を取り戻し、笑顔を浮かべながら広場を駆け回り始めました。その様子を見ていたサラも、リクの成長に驚きました。
「王子様、素晴らしいですね。今日のあなたは、前よりもっと優しさが溢れています。」サラは微笑みながら言いました。
リクは少し顔を赤らめました。「ありがとう…僕、ちょっとだけ自信が持てたかもしれません。自分を信じること、それがどれほど大切か、少しずつ分かってきました。」
「それは良かったです。」サラはリクの背中を軽く叩きました。「あなたは、少しずつ大きく成長していますよ。」
その日は、リクにとって大きな一歩となりました。魔法のカバンの力を信じ、他の人を助けることができた自分を少し誇らしく思いました。しかし、それ以上に、初めて素直に「ありがとう」と言えたことが、彼にとって何よりの成長でした。
その夜、リクは一人で自室に戻り、カバンに話しかけました。「カバンさん、ありがとう。今日、私は少しだけ前に進むことができた気がする。」
カバンは穏やかに答えました。「それが大切な一歩だよ、リク。君は本当に素晴らしい王子だ。今の君が、自分を信じて、もっと素晴らしい力を発揮できることを、私は確信しているよ。」
リクはカバンに向かって微笑みました。「これからも、少しずつ進んでいくよ。ありがとう。」
その夜、リクはぐっすりと眠りにつきました。今まで感じたことのない安心感と満足感が、彼の心に広がっていました。彼の小さな一歩が、大きな成長へと続くことを信じて。
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