第3話 ゲームクリアとご褒美
ミッション3を見事にクリアしたその日の夜、ひなたはハートウォッチをじっと見つめていました。画面には「ミッション完了!おめでとう!」とキラキラ輝く文字が表示されています。その瞬間、不思議な音が響き、目の前にクエストマスター・ハートが再び現れました。
「すごいね、ひなた!君はミッションをすべてクリアしただけじゃなく、ハートポイントをたくさん集めて、それをみんなに広げる力まで見せてくれた。」
クエストマスター・ハートは満足そうに微笑んでいます。ひなたは少し照れくさそうに笑いました。
「最初はポイントを集めるだけのゲームだと思ってたけど、全然違ったんだね。誰かに優しくすると、自分も嬉しい気持ちになるし、もっと頑張ろうって思える。」
「その通り!」クエストマスター・ハートはうなずきながら答えます。「ハートポイントは、誰かに与えることで増えていく力なんだ。君はそれを実感したね。」
ひなたは続けました。
「このゲーム、与えるとポイントが減ると思ってたけど、実際にはどんどん増えていくんだね。私、もっといろんな人に優しくしたい!」
クエストマスター・ハートは、少し誇らしげに胸を張りました。
「 ひなた、君は特別なプレイヤーだ。この冒険を通じて、与えることの本当の意味を学んでくれたね。だからこそ、君にご褒美を用意しているんだ。」
「ご褒美?」ひなたの目がキラキラと輝きます。
クエストマスター・ハートはひなたのハートウォッチを指さしました。すると、ウォッチの画面がゴールドに輝き始め、特別な音が鳴り響きました。
「これが『ゴールドハートモード』だよ。このモードになると、君のハートポイントがもっと遠くまで届くようになるんだ。」
ひなたは驚いて聞き返しました。
「遠くまでって、どういうこと?」
クエストマスター・ハートは答えます。
「君が周りの人に優しさを与えると、その優しさがさらに広がって、君の知らない場所の誰かを幸せにする力を持つんだ。」
ひなたはその言葉を聞いて、胸がじんわりと温かくなるのを感じました。
「ひなた、覚えておいて。この冒険は終わりじゃない。むしろ、これからが本当のスタートだよ。」
「本当のスタート……?」
クエストマスター・ハートはうなずきました。
「これからも毎日の生活でハートポイントを集め続けていくことが、君の次のミッションなんだ。ポイントを集める方法は無限大だよ。誰かに『ありがとう』を言うだけでもいいし、困っている人を助けてもいい。大事なのは、君の気持ちがこもっていることなんだ。」
ひなたは力強くうなずきました。
「私、もっとたくさんの人に優しくして、みんなでハートポイントを増やしていきたい!」
クエストマスター・ハートは満足そうに微笑みました。
「その気持ちが一番大切なんだよ。それじゃあ、また君が成長したときに会おう。ゴールドハートの力を存分に使ってね。」
そう言うと、クエストマスター・ハートはキラキラと光に包まれて姿を消しました。
翌朝、ひなたは学校に向かう途中で、小さな子どもが転んで泣いているのを見かけました。ひなたはすぐに駆け寄り、優しく声をかけました。
「大丈夫?痛かったね。」
泣いていた子どもは、ひなたの声に安心したのか、次第に涙をぬぐい始めました。その様子を見て、ひなたのハートウォッチがゴールドに光り、「+50ハートポイント」と表示されました。
「やっぱり優しくするっていい気持ちだな。」
ひなたは笑顔で学校へ向かいます。教室に入ると、クラスメイトたちがひなたを待っていました。
「ひなた!今日もハートポイント集めしようよ!」
「もちろん!」
こうしてひなたとクラスメイトたちは、日々の生活の中で「与えることの楽しさ」を広げていく冒険を続けていきました。
彼女の冒険はこれからも続いていきます。ハートウォッチはゴールドの輝きを増し、ひなたは毎日、新しい優しさを見つけていきます。
「与えるものが豊かになる」。その言葉を胸に、ひなたは今日も元気いっぱいに走り出しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます