第5話
亡くなった道子の夫だった健司の実家は、福岡県の郡部の
彼は、地元の小学校、中学校を卒業して、豊津高校に進学した。この学校は、昔は藩校で、由緒ある学校であった。彼は豊津高校から福岡市にある福岡大学に進学して、卒業後は、当時、勢いを増してきたス-パ-マーケットのタカラストア-に入社したのだった。
そして、そこで、配属されたのが、ス-パ-マーケットの
でも、彼は管理職を嫌って、退職したのである。そして、自分で魚屋をやりたいと言って、魚市場に転職したのだった。そこで、道子と知り合い、結婚して、念願の自分の店を持ったのであった。しかし、突然、病魔に襲われ、
一方、跡継ぎがいなくなった実家の農業は、両親が元気な間は続けていたのであるが、いよいよ体力が続かなくなったので、農地は本家の柳井一郎に買ってもらったのである。
その後、両親は過去の蓄財と少ない国民年金で、慎ましく生活していた。しかし、一人息子の健司に先立たれて力を亡くしたのか、父親の創太は健司が亡くなった二年後に、母親の妙子も四年後に亡くなったのである。
二人の野辺の送りは、柳井本家がすべて執り行って呉れたのだった。道子は、正一とふたりで、出席した。本家の柳井一郎が、全てを仕切って呉れたので、道子は本当に助かったのである。
しかし、一つだけ健司の実家に関して問題が残っていた。それは無人になった家屋敷であった。土地と家屋の税金は、わずかな金額ではあるが毎年、道子が払っていた。勿論、名義も道子に現在はなっている。ところが、昨年より、築上町役場から空き家の解体工事の案内が、税金の納付書に同封されてきだしたのである。
築上町では、空き家になった廃屋を撤去する方針を打ち出したのであった。そして、そのための補助金も出すとの事だった。
道子は解体を決心したのである。彼女は、此の解体で、或ことを思い付いたのである。この家屋は、築100年以上経っていた。いわば古民家である。田舎の家だったので、表と裏に井戸を掘っていたのである。どちらも深さ10メートル以上あった。そして、どちらも今でも水が
道子は、この表の井戸に、老女の死体を埋め込もうと考えたのである。
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