第2話 のど自慢の日【1月19日】
のど自慢、それは、誰でも参加できるカラオケ大会。僕は、それを見ていつか出てみたいと思っていた。
しかし、音楽の成績が良くなかった。音楽の感性がなかったのか、それとも、単に合わなかったのか、努力不足なのか分からない。けど、音楽の才能がないと言われた。だから、歌うことも嫌いになっていった。
そんなある日、音楽の先生がこんなことを言った。
「歌は、社会に出て役に立つから、歌えるようになるといいよ。」
そんなことを聞いた時は、本音を言うと、音楽の先生だし音楽の世界しか知らないから、そんなことを言ってるのかと思っていた。だから、そんなことを言っていたことをすっかり忘れていく。
どんどん成長するにつれ、僕は娯楽のカラオケがあることを知る。僕は、勉強するのが好きではない。でも、友達とどこか遊びに行くことを誘うことが出来ずにいた。逃げるように1人カラオケをするようになった。
僕の音域の歌を歌ってみた。たくさん練習していくうちに、僕の音域を突破してみたくなった。僕がカッコいいと思う曲をたくさん歌ったり、ボカロ曲などの高い曲を歌ってみたりした。初めは下手で人前で歌えるほどではなかったが、不思議なもんで、上手くなっていく。挙句の果てには、テンポが速いボカロ曲を肩の力を抜いて歌うことが出来るようになった。
社会人になった今、飲み会の付き合いで、歌うことがある。その時に、盛り上がり、歌うことが楽しくなった。ある上司がこんなことを言った。
「せっかくだったら、のど自慢に応募してみたら?」
その言葉に、僕ははっと昔の記憶が蘇る。のど自慢を見ていた僕がいつか出てみたいと思っていたあの舞台。そこに立てるチャンスが今目の前にある。
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僕は、夢に見た世界に立っている。
テレビで見ていたあの舞台に立っている。
諦めなければ、いつかやりたいことが出来るようになる。
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