私の恋人は精霊姫だし、明日にはもう戻れないし、世界がやばいって言ってるの!!

音愛トオル

プロローグ β

 大丈夫、大丈夫だ。

 もう絶対に失敗しない。これ以上、失ってたまるものか。

 ――だから。


「……いってらっしゃい」


 彼女を、



※※※



 ある日、少女はその光景を見た。

 半壊した王城、逃げ惑う人々、飛び交う魔法――天上からこちらを睥睨へいげいする、乙女のその姿。感情の読み取れない氷のような表情に確かに込められた害意が、現実ではないただの「予知」にもかかわらず少女の顔を青ざめさせた。


 せめて、自分の意志でこの力を操ることが出来たらいいのに。

 そうしたら、を見ずに済んだのに。


「わたくしだけですわ――この世界を救うことが出来るのは」


「〈異界渡り〉を、するしかありませんわ。〈曇天の乙女〉がこの世界に来る前に、わたくしがなんとかしなければ」


「お母さま、お父さま、あなたも――どうか、お許しください」


精霊姫わたくしが、絶対に成し遂げみせますわ」


 かくして少女は、予知した未来を変えるためへと足を踏み入れたのだった。

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