中原中也『汚れちまつた悲しみに……』


日本の近代詩史に大きな影響を与えた夭折の天才詩人中原中也の詩には心打たれるものがある。

自らの生涯を犠牲にし、「生きる」「恋する」「悲しむ」この三つのテーマを書き上げた。なぜだろう。この人が書く詩には心打たれるし、感動さえ覚える。それはきっと、彼の言葉が説得力あるものだからではないだろうか。


「生きる」とはどういうことなのか。「恋する」とはどういうことなのか。「悲しむ」とはどういうことなのか。


人生においてもっとも重要な要素を持つこの三つを追求した詩だからこそ、今も中原中也の作品は多くの人に読まれ続けているのではないか。



第一章生きるに収録されていた「生ひ立ちの歌」は自らの生涯と共に雪があり、年を取るにつれて雪の存在意義が変わっていっている。

雪というものがどれほど美しくて、繊細で、儚いものなのか…彼にとって雪はそのような存在だったのだろうと推察できる。さらに「わが半生」では、死生観について言及している。彼にとっての理想の死に方が書かれている。これは真摯に死と向き合ってきたからこそ書けた詩ではないかと考えられる。



第二章恋するに収録されている詩は激しい恋もあれば、悲しい恋もあった。彼は多くの人を愛し、多くの人に愛された。

それと同時に裏切られただろう。その経験を詩に入れ込むところが素晴らしい。



第三章悲しみでは、痛々しい詩が多い印象を受けた。

例えば「黄昏」。この詩に「ーー失はれたものはかへつて来ない」とある。

その通りだ。これほど悲しいものはないと彼は言っている。若いのにこの世にとって1番悲しいものは失うことであるとはっきり言及している。悲しむこととは「死」と結びつくので、彼は他の誰よりも「死」に近づいていたと言えるのではないか。

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