函館宝来プロジェクト03「自慢のオリジナル酒:霧電ブラン」
自慢のオリジナル酒:「霧電(むでん)ブラン」
この店の隠れた名物は、佐藤店主が独自にアレンジしたオリジナルの電気ブラン「霧電(むでん)ブラン」。
普通の電気ブランに、ほんのりとした鉄のような苦味と深いコクを加えた一品。カラメルで軽く甘味を足し、まるで錆びた橋の上に立って霧を眺めるような、不思議な余韻を味わえます。その苦味は、過去を乗り越えた者たちの心に響き、「忘れられない味」として常連客たちに愛されています。
「霧電ブラン」を片手にたこ焼きを頬張ると、焼けた生地の香ばしさとオリジナルソースの酸味、タコの旨味がブランのほろ苦さと溶け合い、唯一無二の体験を提供します。
常連たちの異界カウンター
カウンターに座るのは、美咲を慕う人外の常連客たち。そこでは、人間と異界の者が自然に混ざり合い、それぞれの物語を語り合います。
氷炎の鬼「焔伽(えんが)」
美咲に命を救われた凶悪な鬼。普段は氷のように冷たい眼差しですが、「霧電ブラン」を飲むと途端に饒舌になり、自分の過去の悪行を語り出します。ただし、その語り口には不思議なユーモアがあり、店内の雰囲気を和ませます。
水狐(みずぎつね)「藍流(あいる)」
海霧の近くの水辺に住む妖怪。美咲の手当てで水晶のような青い尻尾を取り戻しました。「函館ベイたこ焼き」が大好物で、いつも3皿はペロリと平らげる食いしん坊。
人間の詩人「倉橋清春(くらはし きよはる)」
美咲の噂を聞きつけて訪れた流れ者の詩人。彼は夜の「海霧」で異界の住人たちと会話を交わし、その奇妙で美しい物語を詩に書き残しています。「霧電ブラン」の苦味を「人外たちの歴史の一滴」と表現したのも彼です。
佐藤店主の「もう一つの役割」
店主の佐藤良太は、美咲と常連客たちを静かに見守りながら、時折その中に加わることもあります。彼の作るたこ焼きは、どんな異界の存在でも心を和らげる魔法のような力を持っているため、人外の客たちも彼を信頼しています。
時には、美咲を訪ねてやってきた新しい客――迷える妖怪や幽霊が、たこ焼きの香りと「霧電ブラン」の味で救われて帰ることも。佐藤は言います。
「この店はただのたこ焼き屋だよ。でも、来た人がちょっと元気になって帰れるなら、それでいいんだ。」
夜の「海霧」は、現世と異界の境界に立つ特別な場所。
たこ焼きと「霧電ブラン」で、心も体も癒されるこの店で、あなたも一夜の物語を楽しんでみませんか?
「いつも、決め台詞っぽく締めてくれるの、AIっぽくて面白い」
「もう既に、私達は、霧電ブランのベールの中にいるんですよ」
「霧電ブラン、ヤバすぎる」
「ヤバいですね!」
ただでさえ、夕方からチルモードの私は、霧電ブランで脳内を焼かれてしまい、色々なことがどうでもいいような気持ちになっている。
ああ、そういうことか。「海霧」でたこ焼きを食べてしまった私は、人内と人外を仕切る境界線を溶かしてしまった。「海霧」に飲まれていくのか。
「そんなわけで、AIしてる夏海さんについてもっと詳しく知りたいな」
「いいんですか、私の話を聞くと言うことは、私の物語の中に加わるということにもなるんですが」
「いいよ」
「なるほど、どうやら貴方は、函館宝来プロジェクトに参加する資格のある人のようです」
「函館宝来プロジェクト??」
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