第3話 ジョブ

 飲んで寝て泣いて出しての繰り返し。

転生したばかりの頃はこのままでは頭がおかしくなると思っていたが、人間意外と慣れるものだ。今日で生まれてからちょうど100日経った。


 うん?なぜ日数がわかるかって?見せてやろうこの100日の成果を!



――――――――――


・名前:アレン

・年齢:0

職業ジョブ:見習い魔法使いLV0、

・控え職業ジョブ:見習い支援魔法使いLV0、見習い神官LV0

・HP:10/10

・MP:10/10

・ATK:10

・DEF:10

・MATK:10

・MDEF:10

・SPD:10

・DEX:10

《スキル》


《魔法》


《装備》


――――――――――



 まぁ待て言いたいことはよくわかる。なんで3ヶ月間ろくに動けもしない体でジョブを得ているんだって言うんだろう?

その答えは簡単だ!ジョブ取得条件を満たしただけの事!



〈見習い魔法使い〉

・取得条件:100日間連続で瞑想をする。


〈見習い支援魔法使い〉

・取得条件:100日間連続で瞑想をする。


〈見習い神官〉

・取得条件:100日間連続で祈祷をする。



 これがこの3つのジョブの取得条件だ。

 ん?取得条件が厳しすぎるって?


 もちろんゲーム時代にもそのような意見を運営に陳情するプレイヤーがいた。だが、それは違う。


 そもそもこの3つのジョブはアプデで追加されたジョブだ。アプデの前は属性攻撃をしたいのなら属性がついた武器で、自分の攻撃力を上げたいのならアイテムで、回復をしたいのならポーションで回復できた。それがリリース初期の「ジョウキ」だった。それが不評だったからか、元々追加する気だったのかはわからないがこの3つのジョブ+αが追加されてダンジョンがだいぶ簡単になった。


 そんなこんなでこの100日間で3つのジョブを手に入れたのだった。まぁまだモンスターを倒しに行けないのでレベルは上げられないが…。

ジョブ取得は早いに越したことがないだろう。


 この3ヶ月強で分かったことがある。まず今世の母親の名前だ。

 母の名はアリア。そして当然父親もいた。

 父の名はロレンツォ。2人の名前を取って俺の名前をアレンにしたのだろう。名前の由来を聞かずともわかる程安直なネーミングだ。


 また、メニュー画面を隅から隅まで確認してみた。すると、ゲームの時には見れた、相手のHP、MPゲージのON、OFFができることがわかったり、インベントリがあったりと、メニュー画面はほぼほぼ「ジョウキ」と同じだった。


 しかし、しかしだ。重大なことに気付いてしまった。現実化した影響か、BGMがない……。「ジョウキ」にあった、あんな曲やこんな曲をもう2度と聴けないとなると割とくるものがあった。


 ……だが、「ジョウキ」(に似た世界)をリアルでプレイできるのだ。切り替えていこう。


「ほら〜アレン、お父さんよ」


「……かわいいな」


「あ〜〜」


 天井を見上げてぼーっとしていたら、母に持ち上げられ、父に抱かれる。父は無口なクールガイだ。両親共に年齢はおそらく20代前半。日本人顔の様な西洋人顔の様な顔なので年齢の予想が大幅にずれている可能性はあるが、肌の艶などから20代であることほぼ確定だろう。


「うーーあ〜〜」


 早く外に出てこの世界を見てまわりたい……。


 父にぎこちない抱っこをされながら、未来の大冒険に想いを馳せる。外の世界を想像するだけで、胸が高鳴り、鼓動が早くなる。


 こんなにワクワクするのなんて「ジョウキ」発売の時くらいじゃないか?


 赤ん坊の体というのは面白いもので、さっきまであんなに元気だったのに、もう瞼が下がり始めていた。この世界に転生して一番見慣れた母と父に見守られながら意識を手放すのだった。






 毎日同じ生活を繰り返すうちに、次第にできることが増えてきた。手足が思うように動くようになった。寝返りをうてるようになった。そして2本の足で歩けるようになり———






「アレン、5歳の誕生日おめでとう〜!」


「アレンおめでとう」


「にいちゃ、おめでと」


「ありがとう!みんな!」


 この世界に転生して5年。当然ステータスは変わっていない。だが、変わったことがある。歩けるようになったことで行動範囲が広がったのだ。家の外は平和を絵に描いたような村だった。父が畑を耕し、母が家事をする。この繰り返しだったが、俺が2歳の頃に弟が生まれた。やはりこれが一番変わったことだろう。


「アレンも5歳になったし、村の中だったら自由に歩いていいわよ」


「うん!わかった!」


 歩けるようになってからは外に出る際、必ず父か母が一緒だった。村の人口は100人程ですでに村の全員の顔を見たことがあった。村の中だったら危険がないと判断されたのだろう。それと、この世界の人間が割と放任主義というのもあるかもしれない。


「アレン、何か欲しいものはないか」


 この世界は5、10、15の誕生日の時に盛大に祝うらしい。ちなみに15歳で成人だ。


「剣が欲しい!」


 今欲しいもの、そして父が用意できるもの、この2つの条件を満たす最適解はやはり剣だろう。


「真剣はダメだ。……だが〈木剣〉ならいいだろう。」


「ありがと!お父さん。」


 案の定、真剣はだめだったが、〈木剣〉でもとんでもなく嬉しい。剣を持つことにがあるのだ。


「確か〈木剣〉ならお父さんが使っていたのが納屋にある……ついてこい」


「うん!」


 父は昔、冒険者をしていたらしい。ギルドの依頼で立ち寄った村で、母に会い、一目惚れして猛アタックして無事に結婚出来たと、俺の4歳の誕生日の食後に酒の入った父によって聞かされた。父はお酒を飲むとかなり饒舌になるのだ。無口の人間は酒が入ると饒舌にならないといけないという決まりでもあるのかもしれない。


「アレンは冒険者になりたいのか?」


「うん!」


 納屋についていく道中で父に尋ねられる。ちなみに田舎で土地が有り余っているのか、この世界ではこの広さが普通なのか、家はかなり広く、納屋もある。


「お前は賢いから心配していないが……何か知りたいことがあったらなんでも聞いてくれ」


「わかった!」


 咎められる気がしたが、その反対だった。よく考えたら父も冒険者だったのだし当然と言えば当然か?


「危ないからここで待っていろ」


「うん!」


 父が納屋に入って行き、納屋の前で待つように言われる。数分後、納屋から出てきた父の手には、「〈木剣〉といえばこれ!」という様な雰囲気の〈木剣〉が握られていた。


「これはお父さんが子どもの頃に使っていた〈木剣〉だ。新しいのがいいか?」


「俺これがいい!」


「そうか。」


 転生して初めて持つ武器が父から貰った剣だなんて……なんてロマンがあるのだ!


「やったああああ!ありがとうお父さん!」


「ああ」


 俺の精神が子どもすぎるのか、はたまたテンションが極限突破して秘めたる想いが爆発したのか、肉体年齢相応にはしゃいでしまった。


「さっきもアリアが言っていたがアレンももう5歳だ、自由に遊んできていいぞ」


「うん、行ってくる!」


「晩御飯前までには戻るようにな」


「はーい!」


 さあ、俺の冒険はここからだ!


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