第10話 側近との方針会議


「そう、ですか……では、僭越ながら学校では、『面太君』と呼ばせて頂きます」



 学校では、か……、う~ん……。


 どうやら彼女は、それ以外では俺の事を、『面太様』と呼ぶ気のようだ。


 まあ、学校でそう呼ばれなければ、取り敢えずは良しとするか────




 ん……、あれ……?


 眠気が急激に、襲って来た。

 こんな朝早くに、どうして────?



 意識が、薄れていく……。


 前にもこんなことが、あったような……。



 そう、あれは天ノ川さんから、キスされた後に……。



 ──────── ──── ──


 ──── ──




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 俺は魔王として目覚める。


 登校中に『冴えない俺』が、眷族と話していた途中で目を覚ました。


 『得物』が近くに、いた訳ではない。

 今回の覚醒は、『リリス』と話をする為で、イレギュラーなものだ。


 ────リリスも若干、意外そうにしている。



「あら? ……おはようございます、魔王様────覚醒なされたのですね」


「ああ、お前と話す為にな……」



「────まあ、光栄でございますわ」



 天ノ川アリスは、悪魔『リリス』の力を持って生まれた人間だ。


 こいつは『リリス』の力に目覚めてから、俺を復活させる為に動き出した。



 今も裏で色々と暗躍している、俺の忠実な眷族──

 こいつとは情報と現状認識の、共有をしておく必要がある。




「お前の働きで、目覚めることが出来た。褒めて遣わす……だが、力が弱いせいで、意識が安定しないのは不自由だな」

 

「新たに眷族を増やしたことで、魔王様の力も少しですが、増しています。……このまま眷族を増やしていけば、その分、発揮できる力も、増していきますわ」



 そう、眷族を増やせば、その分、力を取り戻していける。


「ふむ、そうだな────では早速、学校の女生徒全てを、我が眷族とするか……まずは手始めに、クラスの女生徒、全員を……」



 ────女は沢山いる。


 そして、『魔王モード』の俺であれば、入れ食い状態だ。

 手当たり次第に、目に付いた女を眷族に出来るだろう。


 力が弱いといっても、人間の女を魅了するなど造作もないことだ。


 そして、眷族を増やすたびに、行使できる力も増す……。



 ────完全復活は、思ったよりも簡単そうだ。






「お待ちください、魔王様……。私が調べたところによると、人間が保有する魔力量は個人差が大きく、バラつきがございます」



 リリスは俺より、一足早く、力に覚醒していた。


 人間について、その分、詳しく調査している。


 俺がわざわざ、覚醒して出てきたのは──

 行動を起こす前に、コイツの見識を聞いておきたかったからだ。



「ふむ、それで────?」


「魔力量の少ない者を眷族とした場合、魔王様からその者へと、眷属化に必要な魔力が分け与えられてしまいます。────その結果、魔王様の力は、今よりも弱体化してしまうのです」


 ……。


 それでは意味がないどころか、逆効果になってしまうではないか……。



「人間の女には、当たりハズレがある────という訳か……」


「仰る通りでございます。……ですので、魔王様が眷族になさる場合は、『保有魔力量』の多い娘を厳選する必要があるのです」


 ────まあ、そうなるな。



 俺が黙って頷くと、リリスが話を続ける。

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