6.

「大変盛り上がっているところに水を差す言い方になってしまいますが、四人で行かれるのは難しいと思われます」


え、と誰かの声が漏れた。

しかしすぐにですが、と安野は続けた。


「条件付きであれば、許しが出るかと思われます。一番の脅威からの可能性が低いとはいえ、新たな脅威に襲われる可能性があると思われますので。あのお方も気が気ではありませんでしょう」


「もちろん、私も気が気ではないのですけど!」と大きな私情を挟む安野を、ほほ聞いていない姫宮はその‘’あのお方‘’のことを思い浮かべる。


常に多忙の身である彼は、一緒に水族館に行くことはおろか、近所でも叶わないだろう。

それでも仕事の合間でも会ってくれる彼の優しさは同時に、姫宮達のことを心配している。今回のように、特に外に出る時は。

そういうささやかなことでも少なからず愛されているのだと感じられる。

これ以上、彼の心配の種を撒いてはならない。


「まぁ、そうですよねぇ。どちらにしても心配させてしまいますよね。そうですよねぇ」


ふふ、と堪えきれないといった顔をする玲美が、安野が言いたいことが分かったのだろう反応に、頬を染めた。


「とにかく、そういうことですので、ご了承ください。ですが、安全は多少なりとも保証されると思いますので」


「当日は楽しんできてくださいね」と添えた安野の表情は、にこやかであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る