4.

「大河、こないだ観た番組のこと憶えてる?」


それはとあるバラエティ番組内でやっていた様々な水族館を紹介するコーナーのことだ。

春の桜、夏の花火、秋のもみじ、冬の雪と現実の季節に合わせて魚達が泳ぐ水槽に桜や花火を浮かび上がらせている、いわばイルミネーションというものをやっている水族館があったり、メリゴーランドや小さな観覧車が館内にある水族館もあったりと、魚以外でも楽しめるという内容であった。


「薄暗い中に大きな水槽にたくさんのお魚が泳いでいたでしょう?」


少しの間の後、思い出したかのような顔をして頷いた。


「その場所に伶介くんと伶介くんのママが行ったんだよ」


なるほどというような顔をする息子に、分かってくれて良かったと思わずホッとしていた。

その番組を今はそのような水族館があるのかと姫宮も関心して観ていた。

大河はそうでなくとも、姫宮達と一緒に生活することになる前も恐らくそのような場所に行ったことがないのだろう。口を閉じるのを忘れて釘付けになっていた。


そのような我が子を見てからは、行かせてあげたいと思うようになっていた。


姫宮とも関係のある人達が法で裁かれた今、大河にも危害を加えられる可能性はなさそうで、それに息子にいつまでもこのような生活をさせたくない。


「たーちゃん、すいぞくかんにいきたいの?」


もらったお土産を凝視していた大河は尋ねられた時、うんと頷いた。


「えっ、じゃあ、いますぐにいこっ!」

「伶介」


手を取った伶介が大河と共に玄関へと向かおうとするのを、玲美が呼び止めた。


「伶介、いくら大河君のことが好きでも今すぐには難しいでしょう。それにその前に大河君のママに一緒に行ってもいいか聞かないと」

「あっ、そうだった!」


伶介はハッとし、大河と玲美にそれぞれ謝罪した後、改まったような顔をして姫宮のことを見た。

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