第17話
「魔導騎士か、心強いな。シーカー、どうやって戦う?」
後ろにいるシーカーにケインは尋ねた。
しかし、一向に返事が返ってこない。
ケインは振り向くと彼は立ち尽くしていた。
「おい!あんたの魔法で倒すんじゃないのか?」
その時、天使は尻尾を勢いよく振り回して攻撃を仕掛けて来た。
「伏せろ!!」
攻撃にいち早く気が付いた女騎士は叫ぶ。
ケインとアーロンはその言葉に反応して身を屈めた。
ケインの頭上を天使の尻尾が風を切り通過する。
背後で鈍い音が聞こえて来た。
嫌な予感を抱きながらケインは背後を振り向く。
シーカーは吹き飛ばされ、テントに突っ込んでいた。
「シーカー様!?」
アーロンは飛ばされたシーカーの元へ向かおうと行動する。
しかし、それよりも早く女騎士は彼の肩を掴む。
「今は天使に集中するのだ。魔法使いはあれぐらいの攻撃では死なない」
アーロンはその言葉を聞くと踏みとどまり、天使に向き直る。
ケインは女騎士に顔を近づけた。
「なぁ、3枚羽と戦ったことあるんだろ」
「ああ、だがレジーナ様と一緒に倒した」
「俺たちだけでもやれると思うか?」
「分からない、だがやるしか無いだろう」
ケインは剣を振り、風の刃を天使に放つ。
しかし、天使の鱗は厚く、攻撃が効いた様子はない。
「前と同じで意味ないか」
ケインはため息を吐く。
「いや、そうでもない」
女騎士は風の刃が当たった箇所を指差した。
鱗に傷がつき、薄らとだが血が滲みでている。
その時、アーロンは地面に1本の短剣を突き刺した。
「どんな敵にも不屈の精神で撃ち破る!」
もう1本の短剣を天使に向けて投げた。
短剣は天使の鱗の隙間に深く刺さる。
しかし、天使はその攻撃に怯まずに鋭い爪をアーロンに向けた。
爪は空を切り裂きアーロンに襲いかかる。
その時、彼の姿は消えて一瞬のうちに天使に刺さった短剣の場所へと現れる。
「隙だらけだな」
アーロンは刺さった短剣で天使を切り裂いた。鱗は剥がれ、血と共に地面に落ちる。
天使は痛みで声を荒げ、アーロンを振り払おうとした。
しかし、またもアーロンの姿は消えて今度は地面に刺していたもう1本の短剣の元に現れる。
「すげーな。瞬間移動ができるのか!?」
「私の魔装具はこの2本の短剣だ。短剣の元に高速移動することができる」
アーロンは短剣を天使に向かって投げた。
しかし、天使は飛んできた短剣を振り払う。
短剣は宙を舞い、そのまま地面に落ちていく。
アーロンは落ちていく短剣の場所に姿を現し、天使の背後を取った。
宙に浮かんだ短剣を蹴り上げて軌道を変える。短剣は天使の背中に命中した。
しかし、硬質な鱗に刺さる事はなく弾かれる。
天使は彼に向けて火炎を吐き出した。空中にいるアーロンは避けることができない。
「アーロン!?」
火炎に巻き込まれて彼の姿は見えなくなった。
「大丈夫だ、安心しろケインくん」
鱗に弾かれた短剣の側に高速移動をしていたアーロンは紙一重で火炎をかわしていた。
少し火炎に触れたのか身体に火傷の痕がある。
「あの炎、触れていないのに火傷をしてしまった。かなりの高熱だな」
「2人がかりで攻撃しよう」
「よし、分かった。キミの実力を見せてもらうか」
ケインとアーロンは天使を挟む様に回り込む。
天使はケインに向けて火炎を吐き出した。
「ぬおッ!!」
ケインは足に魔力を込めると一気に加速してかわす。
火炎は彼には当たらず岩を燃やす。
高熱のあまり岩はドロドロに溶けて真っ赤に発光していた。
「私ほどではないが十分速いな」
「ありがとう。だが練習中だから連発はできないんだ」
話していると天使は尻尾でアーロンを攻撃する。
アーロンは短剣を上空に投げると高速移動をした。
その時、天使にも知性はあることをケインは改めて知る事となる。
短剣の先に天使は口を開けて待ち伏せをしていた。
アーロンは天使と目が合う。
「まずい」
手に持っていたもう1本の短剣を地面に向けて投げる。
アーロンは高速移動しようとするも天使の噛みつきから逃れることはできなかった。
彼は悲鳴をあげながら天使に丸呑みにされる。
やがて悲鳴は途絶え、咀嚼音だけが聞こえる。
「クソッ!なんて事だ」
天使は口からケインに向けて何かを吐き出した。
彼の前にアーロンの短剣が地面に突き刺さる。
天使はケインを嘲笑うかの様に喉を鳴らした。
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