子犬系の幼馴染みが、裏切られて傷心のオレに……オレだけに無条件で懐いてくる! するとなぜか復讐も果たされて!?
佐々木直也
第1話 告白させゲーム
「はぁ……もう二学期か……」
夏休みが終わった途端、オレ──
もともと夏休みを満喫したわけでもない。けれども新学期は問答無用でやってくる。
いくら逃げたくたって、休み続けたら落第だ。そう考えて、オレは重い足取りを引きずりながら校門をくぐった。
そして今、オレは教室の前に立ちすくんでいる。
(ああ、嫌だなぁ……またあいつらの顔を見なきゃならないのか)
恐らくクラスメイトの誰もが、オレのことを『告白させゲーム』の被害者として覚えているだろう。
一学期に、クラスカーストの上位女子たち──
オレは、そのゲームの犠牲者となった。見事なまでに。
その告白させゲームというのは、読んで字のごとく、狙った相手に告白させたら勝ちというゲームだそうだ。
だからオレは、二年生になって少しすると、カレンに猛アタックを受けた。
何かにつけて話しかけてきて、やがて一緒に昼食まで取るようになり、しまいには「わたしのこと、カレンって呼んでよ、みんなそう呼んでるし」とまで言われた。
最初は、学校イチの美少女が、なんだって地味なオレなんかに声を掛けてきたのか不信に思っていたのだが……やがて、グイグイと迫ってくるカレンにほだされて、ついにオレは思ってしまう。
告白したら……とんでもない美少女と、お付き合いが出来るのでは?
そうしてオレは告白し──見事なまでに玉砕する。
つまり連中の術中にまんまとハマったわけだ……!
さらにその告白現場には、カレンたちの取り巻きまで潜んでいて……
指さしで大笑いされたときの記憶は、まだ鮮明に思い出せるほどだった。
あれ以来、オレは女性不信気味だ。誰を信じればいいのか、さっぱり分からない。
何よりあのときから、オレを見るクラスメイトの目まで微妙に変わってしまって……まるで嘲笑するような、あるいは哀れむような視線がどうしても頭から離れない。
だから教室に入るのが憂鬱で仕方なかった。
「……はぁ」
深いため息を吐いてから、意を決して教室の扉を引く。そこには既にクラスメイトが多く着席していて、雑談に花を咲かせている連中もいれば、スマホをいじっているやつもいる。
カレンの姿も、その取り巻き連中の姿も見えた。視線を合わせないようにしようと、オレはなるべく目立たずに自席へ向かう。
そのまま机に座って、鞄から教科書やら何やらを取り出す。誰からも声を掛けられないのはありがたいが、クラスの雰囲気に慣れずにいるオレは、ずっと居心地が悪かった。
やがてチャイムが鳴り、朝のホームルームが始まる。担任の先生が入ってきて、出欠を確認してからさっそくこう宣言した。
「えー、夏休み明け早々だが、転校生を紹介するぞー。みんな、温かく迎えてやってくれ」
(転校生? 珍しいな……)
などと思いながら周囲を見ると、クラスメイトの何人かは「女子かな? 男子かな?」と軽く盛り上がっているようだった。
そして教室のドアがガラリと開く。
入ってきたのは……ビビるほどに美少女だった。
腰まで伸びた柔らかそうな髪。小柄で華奢な体型なのに、出るところは出ていて……っていうか、その胸部はなんという大きさなのか……!
だからその転校生は、そこにいるだけで周囲の空気が変わるような、そういう不思議なオーラがあった。
そんな彼女は、教壇へ行くより先に、つかつかとオレの机へと近づいてくる。
そうしてオレの目前で止まり……オレは唖然として彼女を見上げる。
「陸斗さん……お久しぶりです」
彼女は、心底懐かしいという感じでオレに挨拶してくる。
クラス中が「え、何あれ……?」「立花の知り合い……?」と、その光景を固唾をのんで見守っている。
もちろん、オレ自身にはまったく思い当たる節が無い。
(な、なんだ……? お久しぶりって、初対面じゃないのか? でもこんな子、知ってたら絶対忘れないと思うんだけど……)
まったく状況が飲み込めず、オレはただ目を白黒させるしかなかった。
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